(2) 新規雇用・離職防止
テレワークで働きやすい環境を整備することにより、 優秀な人材の採用もしやすくなります。在宅勤務制度などワーク・ライフ・バランスに配慮した企業の人気は高くなりつつあります。
たとえば横浜にある社員数39名の電機工事会社では、テレワーク導入以前に新卒を募集しても、応募はせいぜい数人程度でした。ところが、募集要項に「在宅勤務・モバイル勤務可能」と記載したことにより、現在では毎年300人以上の応募があるようになりました。
そしてテレワークは障がい者の雇用にも効果があります。平成30年4月から障がい者の法定雇用率は2.2%に上がりました。しかし首都圏で新たに障がい者を雇用しようと思っても、働ける障がい者はすでに働いていて、新規採用しづらい状況です。そこで、地方の障がい者を在宅勤務で雇用する企業が徐々に増えつつあるのです。これは、情報通信機器の活用で障がい者が同僚とコミュニケーションをとりながら終日在宅勤務することが可能になったことでの効果と言えるでしょう。
テレワークは社員の離職防止にも効果があります。内閣府の調査では、30〜34歳の女性の就業率は、81.6%と非常に高く、第一子を出産する年齢にさしかかる女性が社内でベテランとして働いていることがわかります。会社にとって、せっかく教育し仕事に慣れてきたこの年齢層の女性社員が離職するのは大きなマイナスです。就業者本人にとってもキャリアを積み、これから活躍の場が広がる時期に離職するのはとてももったいないことです。在宅勤務制度があれば、産休明けに在宅勤務などを有効に活用することにより、就業を継続しやすくなります。
出典:男女共同参画局「女性の年齢階級別正規雇用比率(令和6(2024)年)」
日本では介護・看護による離職者が年間約10万人に及び、その約8割を女性が占めています。いわゆる団塊の世代の約800万人が後期高齢者になると、介護や看護の必要から仕事を辞めなければならない人のいっそうの増加が懸念されます。テレワークを活用すれば、介護と仕事の両立が実現しやすくなります。テレワークの普及により介護離職を防止することは、喫緊の課題です。
出典:総務省「令和4年就業構造基本調査の結果の概要」
最近は、家族の転勤があっても、離職せずに在宅勤務で就業継続する事例も出てきています。一部の会社では優秀な社員が離職するのを防止する手段として、テレワークを積極的に活用しているのです。今後、このようなテレワークの活用が一般的になることが期待されます。