令和元年度第2回取材記事
災害や家族の体調不良時でも業務計画を損なわないテレワーク
従業員のほとんどが子育て中の女性である(株)はたらクリエイト。今回は、昨年佐久市内に開設したオフィスで、今年度の取り組み状況についてお話をうかがいました。また、配偶者の転勤で長野から神奈川へ転居した後も、在宅勤務で業務を続けられている従業員の声もご紹介します。
取締役 柚木 真さん
子供の体調不良や台風時でも業務を完全に止めずに済むテレワーク
佐久オフィスはどういった経緯で開設したのですか?
上田オフィスしかない頃、佐久方面から上田オフィスへ車で片道1時間かけて通勤する従業員が増えてきたことから、佐久オフィス開設を検討し始めました。上田オフィス同様、託児所を併設しますし、駐車場のスペース確保も必要で、いろいろと探した結果、現在の場所となりました。
佐久オフィス外観
2019年5月の佐久オフィス開設後、佐久オフィスの方が自宅から近いスタッフ5~6名は、上田オフィスから移動しました。新規募集で入社した従業員も合わせると、現在の佐久オフィス勤務者数は約30名です。上田・佐久両オフィスで行う業務内容に大きな違いはありません。
今年度のテレワークの実施状況をお話しください。
長野県外で常時テレワークを行っているのは4名です。上田・佐久オフィス勤務者の在宅勤務利用者も増えています。
特に2020年の年明け以降は、子供がインフルエンザや胃腸炎にかかったなどの理由で、在宅勤務で業務を行うケースが急増しています。この冬、上田オフィスでは、すでに10名以上が利用しました。
体調不良の子供を見守りながらなので、すきま時間での業務にはなりますが、仕事を完全に止めることなく継続できることは、会社にとっても従業員にとっても大きなメリットです。
当社では従業員全員にノートパソコンを貸与し、VPN接続(セキュリティの保たれた仮想専用線でのインターネット接続)で在宅から安全に作業ができる環境を整えています。始業・昼休憩・中抜け・終業時はチャットツールで報告し、状況が分かるようにしています。
災害時のテレワーク利用にも取り組まれたそうですね。
2019年10月の大型台風の襲来では、長野県にも大きな被害がありました。台風が去った連休明けの火曜日は保育園や小学校は休みとなりましたが、当社は全員に在宅勤務を許可して業務に取り組めるようにしました。このときは、従業員の1/3が実施しています。働き方の選択肢として在宅勤務制度を整えておいて良かったと痛感しました。
テレワークは災害やインフルエンザの流行などがあっても、業務を止めずに継続する手段として有効だと思います。災害がきっかけで初めて在宅勤務を経験し、実際に行ってみたら「思っていたよりもできる」と感じた従業員も多かったようです。
もはや職場において当たり前の存在となった在宅勤務
これまでの取り組みを振り返っていかがですか?
当社において、テレワークはなくてはならないものです。子供の病気は親が気を付けてさえいれば防げるものではなく、子供が体調不良のときも、できるだけ業務に支障がでないようにするにはどうしたらいいかを考えて制度設計しています。極力、業務計画は変えません。
子供の病気で出社できなくなった従業員からは、在宅勤務制度を利用できることで、自分の担当業務量をこなすことができたとポジティブな声を多く聞いています。自分自身はまだ在宅勤務を実施していなくても、利用する同僚が増えていくにつれ、職場において在宅勤務は特別なことではないと感じてくれているようです。
スムーズにテレワークを行うために必要だと思うことは何でしょうか?
入社してすぐにテレワークを許可することは難しいと思っています。当社は研修期間が3カ月で、この間は出勤して会社のカルチャーや雰囲気をつかんでもらいます。研修期間終了後、一定のスキルを習得した従業員にはテレワークのテスト期間を設定し、業務効率に問題がなければ在宅勤務を承認しています。
来年度以降、予定しているテレワーク活用・拡大予定をお聞かせください。
制度の内容は現在のものを維持し、引き続き働き方の選択肢の1つとして利用してもらえればと思います。長野県外での遠隔勤務は例外として、オフィス勤務では週に1回は出社するという規程の変更もありません。
当社では、災害などの緊急時以外は、会社が従業員にテレワークを命じるということはしていません。テレワーク利用を希望する期間も、各自で決めて申請してもらっています。たとえば会社が「半年ごとに申請」と決めてしまったほうが管理は楽でしょうが、自分の意志で利用期間を決めるプロセスは大切にしたいです。
なお、来年度は、家族でインドネシアに転居する従業員がいますが、海外からもテレワークで業務を継続する予定です。
今後のテレワーク推進活動についてお聞かせください。
当社ではテレワークは利用したい人が選択しておこなうものという位置づけで、特段強制はしていません。ただ、台風の襲来やインフルエンザの流行などがあって初めて在宅勤務をする状況になる従業員もおり、自宅でどのぐらい働けるのかが分からない状態で実施していました。
あらかじめ在宅勤務を経験しておけば、急にテレワークを行うことになっても落ち着いて対応できます。今後は、全従業員が在宅勤務をする日を設けることも検討できればとも思っています。
転勤族の家庭であっても仕事が続けられる安心感(田川友香さん)
テレワーカーへインタビュー:実際にテレワークを利用している従業員の方へお話をうかがいました。
上田オフィスで約3年勤務した後、夫の転勤で2019年春に上田から神奈川へ転居しました。遠隔でも仕事が続けられたらと会社に相談し、承認され、在宅勤務しています。現在は週5日、基本的には子供が幼稚園に通っている間の時間に業務を行っています。
担当業務は上田オフィス勤務時とほぼ同じで、コミュニケーション面もチャットツールやWeb会議ツールを活用して問題なくとれています。上田オフィスで一緒に働いていた方と仕事を進めているので、やりやすいですね。文字だけのやり取りであるチャットでは、硬くなりすぎず、親しみを込めた文章になるよう心がけています。
佐久オフィス会議室でWeb会議中の柚木さんと田川さん
在宅勤務を始めたばかりの頃は一人で業務をすることに少し寂しさを感じましたが、今ではこの働き方が当たり前となり、もうそれほど寂しいということはありません。
今後も夫が転勤する可能性はありますが、現在の仕事は在宅勤務でどこにいてもできる安心感があります。かつて一緒に働いていた方たちと離れていてもつながりを保っていられ、子供の体調不良などによる勤務日程の調整も聞いていただきやすいことがとてもありがたいです。