株式会社WORKSMILELABO
全社員が日常的にテレワークを活用している。通勤圏外の場所に居住する社員もテレ
ワークを活用し遠隔で勤務している。1時間あたりの生産性で評価する「人時生産性」を評
価指標として導入したことで、効率よく働くという企業風土が浸透。書類のペーパーレス
化や、クラウド型ツールを活用した業務のデジタル化も徹底している。
■制度の整備状況
1時間当たりの成果で評価する「人時生産性」を盛り込んだ評価制度と、テレワーク規程
を整備するとともに、規程の内容を定期的に見直している。
会社概要
基本的な事項
組織名
名称:株式会社WORKSMILELABO
創立:1911年
組織代表者
役職代表取締役
氏名石井聖博(いしいまさひろ)
業種卸売・小売業
所在地岡山県
総従業員数30人(2021年7月時点)
テレワークの導入形態
終日在宅勤務部分在宅勤務
モバイル勤務サテライトオフィス勤務
テレワークの利用者数(過去1年間)30人(2021年7月時点)
(画像1テレワーク規程)
35
■経営上の位置付け
経営トップ自らがテレワークを推進しており、全社員がテレワークを日常的に実施している。加え
て、自社のテレワークの取組を紹介するテレワークセミナーを毎月開催したり、社外からの講演依
頼に協力したりするなど、会社を挙げて地方の中小企業のテレワーク促進にも取り組んでいる。
■周知・啓発方法
テレワークを行う上でのルールを作成し、社内に周知している。テレワーク開始・終了時の
報告、テレワーク実施者と社内とのコミュニケーションの方法、情報セキュリティのルールなど
について全社で共通認識を持ち、テレワークが適正に行われるよう配慮している。
■人事・労務管理の整備
【労務管理の運用ルール】
出退勤時にPCやスマートフォンから打
刻が可能なクラウド型の労務管理用ソフ
トウェアにて打刻を実施している。GPS機
能で出退勤時の位置情報を確認できるた
め、モバイルワークやサテライトオフィス勤
務を実施する社員の労務管理をより客観
的に行えるようになっている。
【人事評価面での取組】
生産性の高い働き方の浸透を目指し、テレワークと連動して「人時生産性」を評価指標
として導入した。従来の労働時間の長さを重視する時間軸での評価では、短時間勤務を
選択した場合、給与のみならず賞与まで減少し、短時間勤務社員のモチベーションを下げ
る要因となっていた。そこで、新しい評価制度では、「人時生産性」による評価の比重を高
くし、生産性が上がると賞与が増える仕組みに変更した。これにより、短時間勤務社員を
平等かつ適正に評価できるようになっただけでなく、会社全体にテレワークを活用した生
産性の高い働き方を浸透させることができた。
●・ワークスマイルラボの「生産性評価」
生産性評価マネージャーリーダープロフェッショナルサブリーダー一般
人時生産性(成果/月総労働時間)100150300250400
チーム時生産性(成果/月チーム総労働時間)400350200250100
評価点(満点)2,5002,5002,5002,5002,500
「生産性評価」基礎点のウェイトは一般クラスで「人時生産性」を高く、マネージャークラスでは「チーム時生産性」を高く設定。
評価点は、「人時生産性」と「チーム時生産性」の基礎点に1〜5点を乗じて算出。満点は2,500点。
(図表1人時生産性を盛り込んだ生産性評価)
(画像2出退勤時の様子)
36
【労務管理上の工夫】
全社員のノートPCにログ管理システムを導入し、
社員の作業時間や作業内容を可視化している。社内
ネットワークに接続していなくともPC作業を全て記録
でき、テレワーク下での長時間労働の抑制につながっ
ている。
また、長時間労働対策として、夜8時にPCの電源が
切れるよう設定している。
■情報通信環境の整備
【環境整備上の工夫】
会社に大型モニターを設置し、会社とテレワーク利用者間でWeb会議システムを常時
接続している。出勤している社員とテレワーク実施者が隣に座っているような感覚で、いつ
でもコミュニケーションを取ることができる状態にしている。
また、ペーパーレス化することで、基本的に紙で出力する資料のほとんどを削減した。業
務で使用するデータについては、クラウド型のファイル共有システムを使用することで、社
外からでもアクセスできるようにしている。
【在宅勤務】
業務用PC、スマートフォンを貸与している。自宅にWi-Fi環境がない場合は、工事費は
会社負担、月々の利用料は社員負担としている。
【モバイル勤務】
全社員に業務用スマートフォンを貸与しており、テザリングも使用できる。
(画像3PCログ管理画面)
(画像4会社に大型モニターを設置)
37
【サテライトオフィス勤務】
外勤社員が移動時間を削減できるよう、Wi-Fi完備のサテライトオフィスを整備してお
り、自社の社員だけでなく、顧客も利用できる。
ワーク・ライフ・バランスに関する事項
■健康で豊かな生活のための時間の確保
【労働時間の工夫】
時短勤務制度を導入しており、主に子育て中の女性社員が利用している。午前中は出社
し、午後はテレワークをするなど、状況に応じて勤務時間を柔軟に選択できるようにしている。
【休暇取得促進の取組】
有給休暇を5日連続で取得する制度を導入しており、休暇取得者以外の社員で業務を
サポートする協力体制を作っている。
■就労による経済的自立、多様な働き方・生き方の選択
【育児・介護と仕事の両立】
男女問わず子育て中の全社員が、在宅勤務やサテライトオフィス勤務を活用して業務を
行っている。短時間勤務制度やテレワーク活用の結果、出産・育児による離職がなくなった。
【遠隔地の社員の採用】
事務系業務を担当する社員をテレワーク勤務
で採用した。2021年7月現在、東京在住の社員
1名が完全在宅勤務で働いている。
(画像5サテライトオフィスの様子)
(画像6完全在宅勤務の様子)
38
■社員の満足度
図表2,3は自社の加盟する一般財団法人船井財団が主催で、加盟企業を通じて自社の
社員にアンケートを実施した結果である。2021年4月実施の本アンケートでは、「自社は、働く
時間や場所の自由度があると思う」と回答した社員が95.8%(図表2)、「自社は、性別・国籍
に関係なく、活躍できる環境が整っていると思う」と回答した社員が95.8%(図表3)となった。
生産性向上の工夫
■業務のデジタル化
テレワークを円滑に行い、生産性高く働くために、ペーパーレス化やクラウドツールを活用し
た業務のデジタル化を徹底している。
【申請承認業務のクラウド化】
従来、エクセルで書類を作成し、紙で承
認作業を行っていた見積書や稟議書、休
日の申請業務等の申請承認作業を、クラウ
ド型のツールを活用してWeb上で完結で
きるようにした。
自社は、働く時間や場所の自由度があると思う。
95.8%
67.2%
ワクスマ
実施企業平均
自社は、性別・国籍に関係なく、活躍できる環境が整っていると思う。
95.8%
83.0%
ワクスマ
実施企業平均
(図表2アンケート結果①)
(図表3アンケート結果②)
(画像7申請業務の画面)
39
株式会社WORKSMILELABO
【経費精算のクラウド化】
経費精算をクラウド上で完結できるツー
ルを導入した。申請者がスマートフォン等
で領収書を撮影し、画像をクラウド上にアッ
プするだけで申請を完了できる。承認者も
クラウド上で申請内容を確認できるため、
承認作業のために出社する必要がなく
なった。
【FAXの電子化】
会社に届いたFAXを電子化して、社内
で共有できるクラウドツールを導入した。
PDF化されたFAXはテレワーク中でもPC
から閲覧でき、FAXでの返信業務もクラ
ウド上で完結できる。FAX機器が不要に
なったことで、コスト削減や省スペースにも
つながった。送受信されたFAXの情報は
クラウド上に保存されるため、一覧性や検
索性もアップした。
【RPAの導入】
総務経理が担当していた受発注業務
に関して、定型的なPC業務を自動化する
RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーショ
ン)を導入した。これにより、月間約40時間
分の定型業務を自動化することができた。
(画像8経費精算の画面)
(画像9電子化されたFAXの画面)
(画像10RPAの画面)
40
事例検索へ戻る事例検索へ戻る