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株式会社リコー 情報通信設備のクラウド化や本社の移転などを契機として、導入済みのテレワークを 本格的に拡大し、経営者や管理者が率先して働き方改革とテレワークを推進。また、全 社員を対象としたセキュリティ教育の実施やマネージャーに対する意識啓発など、テレ ワークを実施しやすい環境づくりに取り組み、全社に浸透させている。 ■制度の整備状況 働く場所の選択肢を増やし、ワークの効率化・ライフの充実を支援する目的で、入社1年以 上の正社員、定年再雇用社員、常勤嘱託社員を対象に、在宅およびサテライトオフィスでの テレワークを可能とする「リモートワーク制度」を整備している。 顧客先や移動中にパソコン等を使う働き方であるモバイル勤務については、就業ルールの 中で定めており、全社員を対象として実施可能としている。 会社概要 基本的な事項 組織名 名称:株式会社リコー 創立:1936年 組織代表者 役職代表取締役社長 氏名山下良則(やましたよしのり) 業種電気機器製造・販売業 所在地東京都 総従業員数10,415人(2019年7月時点) テレワークの導入形態 終日在宅勤務部分在宅勤務 モバイル勤務サテライトオフィス勤務 テレワークの利用者数(過去1年間)3,953人(2019年6月時点) 項目在宅勤務制度(2018年3月まで)リモートワーク制度(2018年4月以降) 対象者入社3年以上の正社員 終日:育児・介護 部分:外出・テレコン等との組合せ 入社1年以上の正社員・定年再雇用社員・常勤嘱託社員 ただし、対象者の条件を満たすと上司が認めた場合に限る。 利用日数月5日まで(週2日までかつ連続2日まで)月10日まで(週3日まで) ※終日在宅、部分在宅、終日サテライトの合計で月10日まで 勤務場所自宅自宅・リコー事業所のサテライトオフィス ※終日サテライトオフィス勤務を可とします。 (他事業所への外出時の立寄りについては現状通りです) ※19年度からは社外サテライトオフィスの利用も可としている。 勤務時間7時間30分以内原則7時間30分以内 ※必要な場合は、8時間30分以内 (ただし、他の日で早帰りして相殺すること) (図表1リモートワーク制度) 24 詳細については、運用ルールやマネジメント上の留意点、制度に関するQ&Aなどを記載 した『リモートワーク制度運用ガイド』(後述)に定めている。勤務時間や勤務日数の短縮が 選択できる「ショートワーク制度」や、10時から15時をコアタイムとするフレックスタイムの「エ フェクティブ・ワーキングタイム制度」との併用により、さらに多様な働き方を支援する制度と なっている。 ■経営上の位置付け 「働き方変革」を重要経営課題4テーマのうちの一つに位置付け、2017年にプロジェクト チームとして組織化。同時に取締役専務執行役員を担当役員として任命し、取組をリードし ている。働き方変革で実現したいことの一つとして、「時間と場所にとらわれず、自分らしい働 き方を選ぶ」を挙げており、社長からもリモートワークの拡大に係るメッセージを発信している。 ■周知・啓発方法 リモートワーク推進検討体制を整 え、人事総務・IT部門を交えて周知、 啓発活動を随時行っている。テレワー ク・デイズおよびテレワーク月間の取 組に参画し、リモートワーク促進キャ ンペーンを実施。「テレワーク・デイズ 2019」では、開始前に人事本部長の ビデオメッセージを配信した。さらに ポータルサイトや通達文書、Web上の 社内掲示板等で周知するとともに、社 長メッセージ内でも言及している。 職場レベルでは各部門、関連会社 に働き方変革キーパーソンを定めて、 それらをメンバーとする働き方変革分科会や、全マネージャー(約850名)に対するワーク ショップで、リモートワーク推進の働き掛け、活用への意識啓発を実施。またリモートワーク制 度の運用ガイドを作成し、リモートワークが適正に行われるように啓発している。 フレキシブルタイムフレキシブルタイム清算対象外 0:00 清算対象外コアタイム休憩 標準勤務時間 コアタイム 7:009:0010:0012:0013:0015:0020:0017:3024:00 (図表2エフェクティブ・ワーキングタイム制度のイメージ) (図表3マネージメントワークショップの様子) 25 ■人事・労務管理の整備 リモートワーク実施の際は、前日までに上司に申請を行い、上司は承認を行う。リモートワー ク当日はメール等で始業・終業連絡を実施。始業連絡にて業務計画を、終業連絡にて実績 報告を実施するとともに労働時間を管理している。過重労働防止として、リモートワークでの 就業時間は原則所定労働時間(7時間30分)以内としている。残業が必要な場合は上司承 認の上、8時間30分まで可能としている。 【人事評価面での取組】 全マネージャーに対するワークショップ では、リモートワークの活用および同じタイ ミングで改訂した人事評価制度について の説明を実施した。あわせて、社員に対 する人事評価は成果のみならずチャレン ジやコラボレーションなどの期待行動実践 により行うこと、リモートワーク活用によりパ フォーマンスを最大化していただきたいこ とを説明し、マネジメントの留意事項なども 運用ガイドに記載した。 一方で、コミュニケーションツールを整備 し、リモートワーク中は常にチャットを起動 しておくことで、業務状況の把握と円滑な コミュニケーションを実現している。 (図表4リモートワークの運用フロー) (図表5リモートワーク制度運用ガイド (上司のマネジメント上の留意事項)) 26 ■情報通信環境の整備 【在宅勤務】 ・会社貸与のノートパソコン、クラウドを活用したメールやWeb会議システムなどのコミュニ ケーションツールを活用。※1 ・パソコンにはハード・ディスク・ドライブの暗号化ソフト、ウィルス対策ソフトを導入すること を標準化しており、事前の持ち出し申請なしで社外での利用が可能。※2 (※1、※2はサテライトオフィス勤務、モバイル勤務でも同様の環境としている) ・ネットワーク接続は仮想私設通信網(VPN)により社内のネットワークに接続。 ・会社が支給しているスマートフォンのテザリング機能でネットワークに接続することも認め ている。 ・リモートワークの利用者増に合わせてネットワーク容量も拡大し、リモートワークが利用し やすい環境を整備。 【サテライトオフィス勤務】 社内の各事業所にサテライトオフィスを設置しており、無線LANで社内のネットワークに 接続できる。ノートパソコン用の電源等を整備した社内サテライトオフィスの新設、増設を 18年度に4カ所実施し、整備前と比較して電源がある席を10倍以上に増やした。19年度 からはリモートワークをより推進するために、フリーアドレスを導入した部署から、外部サテ ライトオフィスの利用を開始。外部からはVPNで社内のネットワークに接続する。 【モバイル勤務】 業務上必要な社員は、会社貸与のスマートフォン、タブレットを社外でも利用可能にして いる。また個人の所有するスマートフォンやタブレットにモバイル端末管理システムを導入 し、社外からはVPNにより社内ネットワークに接続できるようにした。さらに2019年上期に はスマートフォンを全社員に貸与し、全社的にモバイル勤務ができる環境を整備した。 ■健康で豊かな生活のための時間の確保 【労働時間の工夫】 リモートワーク時においてはフレックスタイム制の利用を可能としている。従来コアタイム 内のみで時間年休を認めていたものを、2019年4月から標準勤務時間帯での取得ができ るようにした。「ショートワーク制度(短時間勤務コース)」利用者がリモートワークを行う場 合、通常の勤務時間よりも長い勤務や、始業時刻を変更することも認めている。 ワーク・ライフ・バランスに関する事項 27 このような柔軟な運用により、リモートワーク利用登録者は約200人(2018年3月末時 点)から10倍の約2,000人(2018年7月末時点)に増加。さらに2019年6月末時点では 3,953人まで増加している。 リモートワークによる1日の就業時間は、原則所定労働時間としており、上司の承認が 必要な残業も可能としているが、別の日に早帰りするなどをして労働時間を削減している。 また休日出勤日のリモートワークは原則禁止している。これによりリモートワーク実施時は、 55.2%が所定労働時間で業務を終了、26.8%が所定労働時間よりも短い時間で業務を終 了している。一方、13.7%は所定労働時間を超えて業務しているが、一日当たりの時間外 労働は1時間以内となっている。 早朝や深夜に海外との会議がある場合、会社で待機せず在宅勤務とし、必要な時間だ け勤務できるようにした(部分在宅勤務の導入)。半日年休、時間年休と組み合わせてのリ モートワークも可能としたことによって早朝・深夜に海外と電話会議などをする社員は在宅 勤務で対応可能となり、身体的・心理的負担の軽減につながっている。また、社内平均で 約140分となっている往復の通勤時間の削減と、高水準の年休取得率維持(2018年度で 83.8%)につながっている。 ■就労による経済的自立、多様な働き方・生き方の選択 【多様な人材の活躍】 定年再雇用社員(60歳以上)もリモートワーク制度の対象者とすることで、昨年度100 名弱の利用者が、本年度は182名となっている。障がい者は障がいの状況等を確認し、個 別に利用方法を決定することで、昨年度数名の利用者が、本年度は47名となっている。 【育児・介護と仕事の両立】 月10日(週3日)までリモートワークを可能とすることで、通勤時間削減により、育児・介護 の時間を確保できるようにしている。現在約650名の社員が月10日リモートワークを利用し 項目短時間勤務コース短日数勤務コース 事由自己啓発、ボランティア、セカンドライフ準備、介護、育児、副業 ※副業となる場合は、現状通り会社に許可を得ることが必要です。 対象者入社3年以上の正社員・定年再雇用社員 ※上司が制度利用を認め、業務調整ができる場合に限る。組織職は除く。 利用期間6ヶ月以上(申請期間は開始日の翌期末まで。その後は更新申請を行う) 例:5月開始の場合、翌年3月まで。11月開始の場合、翌年9月まで。 利用登録2ヶ月前までにWAVE申請(第一階層長承認) 勤務場所所属事業所、リモートワーク可所属事業所、リモートワーク不可 勤務日週5日(こよみ通り)週4日(出社しない曜日を事前申請) 7時間30分 始業時刻8時~10時の15分刻みから選択 ※19年10月からはフレックスタイム制利用の選択も可能 事業所の標準始業時刻 勤務時間6時間、7時間より選択 ※育児・介護短時間勤務は、5時間勤務も可能 (図表6ショートワーク制度) 28 ており、「エフェクティブ・ワーキングタイム制度」と組み合わせることで、通勤の負荷を軽減 し1日のスケジュールを柔軟に組んで、育児・介護との両立につなげている。 【その他】 サテライトオフィスでの終日勤務も可能とし、個人のワークとライフの状況に合わせて、働 く場所を選択できるようにしている。現在1,469名の社員が在宅勤務とサテライトオフィス 勤務を併用して、リモートワークを実施している。 2019年度から社外のサテライトオフィスの利用を開始し、4〜7月で延べ380名が利用し ている。 ■社員の満足度 2018年度下期に実施した社員意識調査において、会社への自発的な貢献意欲などを示 すエンゲージメントの測定結果は前回(2017年)の3.08ポイントから3.29ポイント(5点満点) で約7%増加しており、過去3回の社員意識調査で、低下傾向にあった中で数年ぶりの増 加となった。さらに、リモートワーク実施者の7割近くが移動時間の削減、時間の有効活用を 実感していると回答している。また育児や介護、自身のけがなどで通勤が困難なときなどにリ モートワークを選択でき、働きやすくなったという意見も上がっている。 本社移転時に在籍者の90%の席数でフリーアドレス化を実施。スペースが効率化された 分は、自由に利用できるミーティングスペースや集中ブース、テレコンスペースなどの共用ス ペースとして活用。リモートワークを含めて、業務に応じて働く場所を自律的に選ぶ風土が醸 成されてきている。 さらに文書保管用のキャビネット数を8割削減した。その結果、移転前の本社ビル利用時と 比べて、一人当たりのスペースは1.3倍となった(4.89㎡/人→6.45㎡/人)。 ペーパーレス化、リモート会議を促進しており、特に「テレワーク・デイズ2019」のコア日(7 月24日)は、自宅環境や家族の状況によって在宅勤務ができない社員を除き終日在宅勤務と して、会議や打ち合わせはリモートでの実施を推奨した。その結果本社では7月上旬の実績 と比べ、事務用紙消費量が58.2%減、会議室利用時間が40.6%減となった。電力消費量は 外気条件が近い日と比較して、90.8%の電力消費量となった。 取組の成果 株式会社リコー 29
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