令和2年度第2回取材記事
在宅勤務の常態化で時間の使い方が変わる
2020年度は、緊急事態宣言解除後も会社全体での出社率を抑え、在宅勤務を行ってきた(株)クレストコンサルティング。今年度の取り組み、テレワーク導入によってここまでに感じたメリット、今後解決していきたい課題などについてお話をうかがいました。
企画管理部 星 めぐみさん
コロナ禍で社内にテレワークが急速に浸透
今年度、実際に行った取り組み内容をお話しください。
2020年4月の緊急事態宣言発出とほぼ同時に、原則全社員が在宅勤務となりました。宣言解除後もテレワークでできる業務については在宅勤務を推奨し、全体的な出社率は50%程度としました。2021年1月の緊急事態宣言発出後は、再び会社全体で在宅勤務を行っています。
そもそもは2020年のオリンピック期間中に全社的なテレワーク勤務体制を整えられるよう、2020年の春頃から徐々にテレワークを進めていく流れを想定していましたが、コロナ禍で急速に制度が定着しました。
2020年6月からは、通信費や光熱費などを補助するため在宅勤務手当として全社員一律月3,000円を支給しています。
今年度のテレワークへの取り組みについて、社内からはどんな声が挙がっていますか?
コロナ禍の中、柔軟に働けることについては好意的な声が多いです。これまでは有休をとらなくてはこなせなかった用事が、テレワーク利用で休暇を取得しなくても済ませられるようになってきています。
私自身、家族の通院付き添いのために日中外出することがしばしばあります。在宅勤務ならば家を出るギリギリまで仕事ができ、帰宅してすぐに再開できます。当社にはコアタイムはなく、深夜早朝をのぞく時間であれば、基本的に自分で就業時間を決められます。テレワークの導入で、介護と仕事の両立がずいぶんやりやすくなったと感じています。
在宅勤務の環境は社員によって異なりますので、中には自宅では集中しづらいという人もいます。そうした問題解決方法の1つとして、当社では会社負担で利用できるコワーキングスペースを従量課金制で契約していますが、社員以外の人たちと空間を共有するリスクがあるため、現在は利用を控えてもらっています。感染状況が落ち着いてきたら、コワーキングスペースの積極的な活用も行っていくと思います。
テレワークの導入による経費削減はありましたか?
2021年2月の交通費は前年同月比の54%に、通勤費は42%に減りました。移動にかかっていた経費が半分ぐらいになっています。以前は訪問していたお客様との商談や打合せの多くがオンラインになり、問題なくできています。
オンとオフの区別を意識してつけることを呼びかけていきたい
ここまでの取り組みで課題と思われたことは何でしょうか?
テレワークで就業時間をコントロールできる幅が広がった一方、オンとオフの区別がつきにくくなっています。私も、ずっと仕事をしているような感覚になることがあり、そうなると気持ちの余裕がなくなってしまいます。テレワークが浸透してきた次の段階として、心身のリフレッシュのためにも意識して有休を取得することが必要だと思います。労務管理を行っている立場から、今後、そういった呼びかけもしていきたいです。
人事考課時の評価は引き続き検討中です。単に制度を見直すだけではなく、評価を行う人のスキルも上げなければいけません。テレワークで今までのように業務の様子が見えなくなっている分、判断できる情報量が減っています。その結果、正当な評価をされないといったことが生じるのは避けなければなりません。
今後のテレワーク活用・拡大予定をお聞かせください。
テレワークにより一人ひとりの業務効率を10%アップし、1カ月の所定労働時間である150時間分以上の作業を行えるようにすることや、1日の労働時間を15分削減することを今後も目標とします。
実のところ、当社は1~3月が繁忙期のため、現在は業務量が増えています。したがって労働時間の削減には至っていませんが、テレワークで業務効率はアップしているように感じています。社員へアンケートをとり、テレワークの好事例があれば社内で共有して参考にしてもらうことも企画しています。
コロナの状況が落ち着いてきて「アフターコロナ」となってからも、ここまで浸透したテレワークは維持していきます。業務の内容などによって、在宅勤務と出社とより良いほうを選択し、メリハリのある働き方を推進していくことになると思います。個人で問題を抱え込んで悩まないよう、相談できる風土づくりも心がけていきたいです。