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東急株式会社 自社のサテライトオフィスを中核にしたテレワークを従業員に浸透させ、労働時間の 削減や生産性の向上を進めるとともに、ワーケーション等による休暇取得も推進。 ■制度の整備状況 テレワークの社内ガイドラインを整備し、対象者である本社勤務員(本社に勤務する従業員)が 誰でも閲覧できる社内向けイントラネットホームページに掲載している。在宅勤務については、本社 勤務員のうち①妊娠者(出産休暇に入る前まで)、②育児休職からの早期復職者、③介護休職か らの早期復職者を利用対象とし、自宅またはそれに準ずる場所での勤務を認めている。運用ルー ルについては、後述のサテライトオフィス勤務と同じく、事前に上長へ確認をとる(口頭も可)こと、モ バイル機器と会社貸与の携帯電話を使い業務を行うこととしており、勤務の日数や時間の制限はな い。また、サテライトオフィス勤務については、本社勤務員の全員を対象とし、サテライトシェアオフィス 「NewWork(ニューワーク)」および自社専用サテライトオフィス(4カ所)での勤務を認めている。 一般職(管理職でない従業員)においては、2016年度より人事評価の項目として生産性 加点を加えており、テレワークなどを活用し生産性の高い業務を実施することが社内で評価 会社概要 基本的な事項 組織名 名称:東急株式会社 創立:1922年 組織代表者 役職取締役社長 氏名髙橋和夫(たかはしかずお) 業種不動産業、生活サービス業、鉄軌道事業(※) 所在地東京都 総従業員数5,041人(2019年10月1日時点) テレワークの導入形態 終日在宅勤務部分在宅勤務 モバイル勤務サテライトオフィス勤務 テレワークの利用者数(過去1年間)1,327人(2019年8月時点) ※「東京急行電鉄株式会社」は鉄軌道事業を分社化し、「東京急行電鉄株式会社」を「東急株式会社」 に社名変更、鉄軌道事業会社は「東急電鉄株式会社」(取締役社長:渡邊功、運輸業)として2019年 10月1日付けで新設いたしました。 18 される制度を導入している。 さらに、テレワークによるコミュニケーション不足を招かないよう、上司と部下が業務以外の 相談もできるコミュニケーション支援ツール「トークwithシート」を導入している。これは、半期 の考課時において、業務のみならず今後のキャリアやプライベートを含め、配慮してほしい内 容などを相互で確認できるツールとなっている。福利厚生制度を活用し、社内の交流活性化 のための昼食会など職場懇親会の補助「グル☆コミプラン」も実施している。 ■経営上の位置付け 2015年を始期とする中期3か年経営計画の重点施策の一つとして『ライフスタイル&ワー クスタイル・イノベーションの推進』を掲げ、社員がいきいきと輝ける環境づくりの骨子として、 在宅勤務やテレワークの拡充を明記した。また、現在の中期3か年経営計画「Makethe SustainableGrowth」における重点施策として、働く「時間」と「場所」を柔軟化すること、 部門横断の「働き方変革プロジェクト」を展開すること、生産性重視への管理職の意識改革 と労働時間マネジメントの実施を掲げている。 ■周知・啓発方法 2016年9月1日から、従業員のさらなるワークスタイル・イノベーションの推進に向け、本社勤務 員を対象に、自社の会員制サテライトシェアオフィス「NewWork」における勤務を可能とする ニュースリリースを実施。また、同月に社長以下の全管理職を集めたフォーラムを開催し、その中 でテレワークのメリットや意義、さらには狙いについて、「労働時間の『長さ』ではなく『質』を意識 する。働く時間が『長い』人が評価される時代ではない」こと、コミュニケーション不足の解消と生 産性向上に向けて「業務の目標」と「求める成果」を明確化することを人事担当役員より発信し た。さらに、「テレワーク・デイズ2019」の期間中にはテレワークや休暇取得を応援するキャンペー ンを実施。サテライトオフィス勤務、在宅勤務、モバイル勤務に加え、ワーケーションの実施および それと同時に延泊休暇を実施した従業員にはポイントを付与して景品などの特典を提供した。 また、「NewWork」の季刊誌を本社従業員に配布し、利用できる店舗紹介や事例紹介 を定期的に実施している。 ■サテライトオフィス運営によるテレワークの普及促進 会員制サテライトシェアオフィス 「NewWork」は全国に約130 カ所以上開設しており、自社専 用サテライトオフィスの設置が難 しい会社を含めて、全国レベル でのテレワーク普及促進に寄与 している。 (図表1季刊誌『NewWork』) 19 ■人事・労務管理の整備 労務管理用のソフトウエアを利用し、個人がシステム入力した勤務時刻と、パソコンのログ オンとオフ時刻との差分チェックを毎月全対象者分実施することで、客観的な労働時間管理 を行っている。また、サテライトオフィスの入退出時に個人のカード認証を行うことから、入退 室時刻のログが記録され、管理監督者や労務管理部署がログを抽出して確認することも可 能としている。 ■情報通信環境の整備 本社勤務員に対してモバイルパソコンを貸与し、管理職および営業系の部署ではタブレッ ト端末も貸与している。さらに、本社勤務員に対しては社用携帯電話を全員に貸与し、遠隔 地にいても直接会話ができるよう、携行を必須としている(テレワーク時も同様)。私用のス マートフォンやタブレットでも、モバイル端末管理ソフトをインストールすればメールチェックを 可能としている。 なお、その場合は労働時間となるため、勤怠の入力を本人と上長に指導し、周知徹底して いる。 【在宅勤務】 モバイル用のパソコンを所持していない従業員には貸与し、自宅にインターネット環境が 整っていない場合には無線接続機器も貸与している。テレビ電話用のマイクなども希望者 に貸与している。 【サテライトオフィス勤務】 サテライトオフィス勤務に当たっては、会社のスケジューラーソフトにその旨を登録する。 パソコン上の「Skype(Web会議ソフト)」の起動を必須として、テレビ電話、会議やチャッ トの環境を整えるだけでなく、現在のパソコンの利用状況を明らかにすることで、場所が離 れていてもリアルタイムの労務管理ができるようにしている。サテライトオフィスでは自社従 業員用のロッカーを契約し、アダプタやマウス、社用携帯電話の充電器などを配置。モバイ ルパソコンを持ち込めば、通常のオフィスと同様の環境で業務が行えるよう整備している。 【モバイル勤務】 在宅勤務やサテライトオフィスと同様、全社的にモバイルパソコンの貸与を進めている。 また、必要に応じて無線接続機器も貸与している。 20 ■健康で豊かな生活のための時間の確保 【労働時間の適正化】 2009年にスライド勤務制度を導入しており、7時30から10時30分の間は30分単位で勤 務開始の繰り上げ、繰り下げが可能。 「スマートチョイス」と題して、自身の職務・環境に合わせたスタイル(働く場所や時間)を 自らが考え、選択する取り組みを導入し強化している。これは、従来の固定的な働き方を 変えて、創造性発揮や業務の効率化を考え、従業員が主体的に働き方を選択することを 目的としている。 管理職を対象としたフォーラムなどによるマネジメント層への意識改革や、「スマートチョ イス」の概念を日常的に浸透させていくことで、運用開始当初(2016年9月実績)に比べ、 サテライトオフィスでのテレワーク実施者数(2018年度ピーク時)が約6倍、利用時間は約 20倍に増加した。 ワーク・ライフ・バランスに関する事項 (図表3サテライトオフィスの利用数) (図表2スマートチョイスの概要) ・サテライトオフィス勤務 ・Web会議 ・在宅勤務 ・分散出社 ・アーリーワーク (7:30出社) ・クールビズ ウォームビズ ・ウォークビズ ・ポジティブワン (部署別計画年休) ・ワーケーション ・1日2回の体操 場所時間 服装リフレッシュ Choice 242 4月5月6月7月8月9月 ■2016年度■2017年度■2018年度■2019年度 10月11月12月1月2月3月 417 524 268 481 563 305 521 573 309 617 303 578 94 282 524 131 301 522 140 330 477 157 314 512 147 330 470 246 453 509 208 456 548 700 600 500 400 300 200 100 0 開始当初より 約6倍の利用者数 21 人事施策において「制度」「風土」「マインド」の変革をバランスよく推進することが重要 であり、各部署総括担当との直接の意見交換等をきっかけに、職場風土を変える取り組み を推進して「スマートチョイス」を従業員一人ひとりに浸透させた。 在宅勤務においては、原則時間外労働および休日労働を禁止している。サテライトオ フィス勤務では、スライド勤務も活用した「直行と直帰」を推奨することで外出時の移動時 間を短縮し、効率化による時間外労働の削減を推進。結果、会社全体の時間外労働時間 がサテライトオフィス勤務導入前に比べて約3割減少した。 業務地域が特定されている開発事業担当は、サテライトオフィス勤務によって移動時間 が短縮したのみならず、併設の会議室でチームミーティングを実施することで、チームとし てサテライトオフィスでの拠点活動を推進。これによって効率的な働き方とコミュニケーショ ン不足の解消を実現、開発案件の繁忙期においても、時間外労働時間が3分の2程度に 減少した。 2018年度には、テレワーク後の午後を半日休暇とし、家族で美術館を無料鑑賞できるイ ベントを実施した。テレワークと休暇を活用することで、就業日でも家族と一緒に過ごす時間 を確保できるという理解の醸成を図った。2019年度には7月24日と25日に、ワーケーション企 画「テレワークde伊豆」を実施した。社内で推奨しているチームビルディング目的の「組織 活性化ワーケーション」のトライアルイベントで、チーム単位で参加したメンバーがリゾート地 の伊豆に滞在し、勤務時間外には観光を楽しんだ。このイベントには社外を含め約100名 が参加(うち社内は20名)し、社内外のテレワーク促進と休暇取得促進に貢献した。 ■就労による経済的自立、多様な働き方・生き方の選択 【多様な人材の活躍】 障がいを有する労働者においては、特に業務上の制限が無ければ、特別な制約もなく (図表4サテライトオフィスの利用時間) 1648 4月5月6月7月8月9月 ■2016年度■2017年度■2018年度■2019年度 10月11月12月1月2月3月 3594 4035 2218 4369 4853 2606 4427 4268 2410 6019 2575 5598 328 2368 4245 775 2606 4966 735 2859 4144 810 2648 3921 913 2891 3795 1446 3629 4066 1471 3957 4460 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 開始当初より 約20倍の利用時間 (利用人数で単純に割ると) ●1人約10時間/月 ●1回の滞在時間は3.4時間程度 22 健常者同様にテレワーク制度の利用が可能となっている。障がいを有する労働者のテレ ワーク対象者(実施可能者)の中での実施率は、5割弱となっている。 【育児・介護と仕事の両立】 在宅勤務については、妊娠、育児、介護に伴う利用を対象にしている。また、育児中の従業 員のサテライトオフィス活用を推進し、子どもの送り迎えなどの利便性が向上している。また、育 児中の時短勤務者が自宅近くのサテライトオフィスを活用することにより、フルタイム勤務日を設 けることができている。通常は2時間の時短勤務であるため、労働力として3割増加している。 ■社員の満足度 2018年7月に実施したテレワーク利用者向けアンケートでは、「身体的・肉体的負担」については、 『減った45.5%』『やや減った35.6%』『変わらない15.8%』『やや増えた2.7%』『増えた0.5%』との 回答となった。8割強(昨年比で2割増)の方にとって負担軽減につながっている。また、「テレワー ク実施場所での生産性」については、『高まった29.3%』『やや高まった36.5%』と66%(昨年比1割 増)の方が生産性向上を実感しており、生産性が『落ちた』『やや落ちた』は合計で5.9%であった。 さらに2019年8月に事業部門が独自に実施したアンケートでは、「通勤ストレスがない」 「作業に集中できた」などの好意的な反応が多数を占めた。事業部門が独自にアンケートな どの振り返りを行うようになるほど、社内のテレワークへの意欲が高まってきている。 ■鉄道事業者としての課題 鉄道事業者として、通勤ラッシュの混雑緩和は従業員も含めて推進すべき課題である。特 に「テレワーク・デイズ2019」期間等においては、オリンピック本番となる来年に向けて、混雑 する電車に乗らないで働くこと、休むことがワーク・ライフ・バランスに寄与すると考え、先述の キャンペーンなどを実施した。 ■テレワークを活用した災害対応 鉄道事業部門では、災害時の対応が可能なサテライトオフィスを用意した。駅などの現場 スタッフにも業務用のスマートフォンやタブレットを配布しており、障害発生時には、映像など ですぐに情報共有ができる体制を構築。本社勤務員はどこからでも状況が確認できるように なり、迅速な判断・対応が可能となった。これらの取り組みを通じて、有事の際に公共交通機 関としての役割を果たせるよう準備している。 同部門の現場スタッフに対するアンケートでは、「(テレワークが)異常時の情報共有・判断の迅 速化に寄与しているか」という質問に64%が『非常にそう思う』、31%が『ややそう思う』との回答と なっており、95%の方がテレワークやそれに付随する情報通信機器の利用を有効と感じている。 東急株式会社 テレワークによるBCP対策 23
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