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18 日本航空株式会社 会社概要 組織名 名称:日本航空株式会社 創立:1951年 組織代表者 役職代表取締役社長 氏名植木義晴(うえきよしはる) 業種空運業 所在地東京都 総従業員数32,753人(2017年3月31日時点) テレワークの導入形態 終日在宅勤務部分在宅勤務 モバイルワークサテライトオフィス その他(ワーケーション) テレワークの利用者数(過去1年間)5,177人(2016年度) ■制度の整備状況 2015年4月から、誰でも活躍できる生産性の高い職場を実現するために在宅勤務制度を導入 している。 導入当初は、在宅勤務のみを認めていたが、2017年4月からは自宅以外の場所でも勤務可 能な制度に変更し、規程も「テレワーク規程」に改めた。 〈テレワーク規程のポイント〉 ○自宅以外でテレワークをする場合は、開始前に所属長の承認を得ることとしている。 ○国内海外の休暇先など不特定多数が混在する場所でテレワークをする場合は、会社支給の セキュリティ対策ができているノートパソコンを使用するようにしている。 ■経営上の位置付け 2015年度と2017年度の年度初めに社長より「ワークスタイル変革」を推進させ、総労働時 間削減の目標達成を実現させること、そのためにテレワークを含めた施策に取り組むという趣 旨のメッセージを発信した。 基本的な事項 企業のトップや管理職が率先してテレワーク導入に取組んでいるほか、ワーケー ションというテレワークを活用した新しい働き方を実施している。 19 また、四半期毎に部門長を対象とした勤務実績報告会で、テレワークを含めたワークスタイ ル改革を推進させるための施策について議論を実施している。 ■周知・啓発方法 2015年から約2,000名の間接部門社員を対象にしたスキルアップワークショップを実施して いる。ワークショップでは、「テレワークのススメ」という、テレワークの目的・概要および 実施にあたっての注意点と実施例紹介の講座(15分)を実施しており、参加できなかった社 員のために、当該資料を社内イントラネットに公開している。 このほか、毎月の社内報や社外報を活用したテレワークの利活用についての発信や、人事部か ら社員に対し、テレワークの制度や事例などの説明を行っている。 ■人事・労務管理の整備 テレワーク利用については自己申告制で、実施前日までに上司の承認を得ることとしている。 テレワーク利用者は、開始時と終了時を電話またはメールで上司に連絡することとしており、 終了時にはテレワーク実施日の成果物の提示も行う。 また、自宅以外の場所でテレワークを実施する場合は、テレワーク開始前に実施場所が映せ るコミュニケーションツールを使用して上司に報告し承認を得るか、写真画像をメールで送付 して上司の承認を得ることとしている。 ■情報通信環境の整備 会社からセキュリティ要件を満たしたモバイルパソコン、ノートパソコン、スマートフォン を貸与しており、仮想デスクトップ(VirtualDesktopInitiative)を利用している。使用する パソコンから公衆回線を使用した仮想私設通信網(VPN)に接続することで社内メールが利 用でき、社内ファイルサーバへのアクセスができるようにしている。 ワーク・ライフ・バランスに関する事項 ■健康で豊かな生活のための時間の確保 【労働時間の工夫】 テレワーク利用者にはすべてフレックス制度を導入しており、上司が認めることで7:00〜 10:00の間で出勤時間を選択することが可能である。 全社で総労働時間1,850時間(有給休暇の年間20日間取得と月4時間程度の残業を想定) を目指し、時間や場所を有効に活用できる働き方による生産性の向上に取り組んでおり、こ のための有効な手段としてテレワークを活用している。 テレワークの効果として、2015年度は活動をはじめて約半年で残業実績が約2割改善し 20 ている。2016年度の一人当たりの総労働時間は、前年比で12時間減少しており、3割の組 織が残業時間半減を達成した。2017年度は、さらにテレワークの利用を活性化させ、月間 の労働時間をあと5時間減らし、総労働時間1,850時間を目指している。 また、テレワークを利用することで移動時間などが削減され、空いた時間は、スポーツジ ム、医療診察、セミナー参加、自己啓発等に有効利用されている。 【その他】 休暇の前後でテレワークを利用することで休暇を取得しやすくなると考えている。 2016年度の全社年休取得日数は2015年度より2日多い17日となっており、2017年度末 までに年休20日取得を目指している。 また、夏休みは連続休暇の取得を推進しているが、家族と予定していた休暇が急な仕事や 会議で休暇の日程短縮や休暇を中止する必要が出てきた場合、休暇期間中にテレワーク規程 内の日数で一時的にテレワークを実施できるようにしており、予定していた休暇期間を短縮 するようなことがないようにしている。 在宅勤務は着実に根付いており、グループ全体の在宅勤務実績は2015年度には2,628人 日だったが、2016年度は5,177人日と倍増している。 また国内、海外の場所を問わずテレワークを実施できるワーケーション*に2017年度7 月から取り組んでいる。 *「ワーケーション」とは、労働者が業務の都合で休暇の取得をためらったり、休暇を中断 したりすることのないよう、国内海外の休暇先で休暇期間中の一部でテレワークを可能と すること。年休取得のさらなる向上を図るための一手段として推奨している。 ワーケーションを導入したことで、旅行中に急な会議が入った場合にも、旅行をあきらめ なくてもよくなり、年休の取得を後押しすることが期待される。 21 導入初年度の2017年度7月と8月のワーケー ション取得者数は、34名(男性24名、女性10名) であり海外で利用する者もいた。 ワーケーションのような新しい制度は、浸透し 根付くのに時間がかかる可能性もあったが、ワー ケーションについては予想を上回る利用があった。 ワーケーションの利用者からは以下のコメント が寄せられている。 ○非管理職女性: 初盆で広島の夫の実家に帰省。急きょ打ち合 わせが2件入ったため、Web会議システム で参加。日程を短縮せずに帰省でき、義理の 両親に親孝行ができた。 ○部長男性: 静かな環境で「新しいことを考え・創出する」 良い機会になる。所属長として率先垂範の機 会になる。今後は、新しい価値の創造や夢を 現実にするための思考、考えぬく機会になっ ていくとよいと感じた。 ○部長男性: 有給休暇を積極的に取得しようとしていく中 で、部長、グループ長不在の期間にもワーケー ションであれば業務の進捗を止めることなく 対応ができ、スピード感が生まれる。 今後は、ワーケーション体験者の声を好事例として落とし込み、社内に向けたワーケーショ ンの一層の浸透と利用拡大を図る予定である。 ■就労による経済的自立、多様な働き方・生き方の選択 【多様な人材の活躍】 2017年度は、厚生労働省から「障害者テレワーク(在宅勤務)導入のための総合支援事業(在 宅勤務ノウハウ蓄積モデル事業)」を受託し、テレワークを活用し、障がいを持つ社員の働 きやすさ、働き甲斐に取り組んでいる。現在障がい者2名が終日在宅勤務を実施しており、 来年度以降も継続して雇用する予定である。 間接部門で働く60歳以上の高齢年者再雇用となる社員、育児・介護の要のある社員につ いても一般社員と同様にテレワークを利用可能であり、テレワーク実施者は多数いる。 また、部署によって派遣社員もテレワーク実施の対象としており、英語翻訳業務を毎月1 〜2回程度テレワークで実施するなど実績も出てきている。 22 【育児・介護と仕事の両立】 男性、女性を問わず育児や介護をする必要のある者は積極的にテレワークを利用しており、 このうち7割が男性社員である。また役職別では管理職の3割が育児や介護でテレワークを 利用している。 ■社員の満足度 二年ごとにテレワークに関する社員満足度調査を実施しており、2015年度テレワーク導入 部署の調達本部では社員満足度は98%と高く、テレワークへの理解が浸透していることがう かがえる。 2017年4月にテレワーク対象者の範囲を広げことによる効果は、現時点ではまだ明確では ないが、毎月着実に実施者が増えており、働き方の改善につながっているとの認識である。 他社の模範となる取組に関する事項 ■労務管理上の工夫 テレワーク利用者の人事評価は、テレワークを実施してどのような成果を挙げたかを重点に おいて評価しており、毎年1,000名規模の人事評価者に対して、人事部が評価のあり方、考え方、 ケーススタディ、ロールプレイなどの研修を実施している。 開始時と終了時に会社支給携帯のスマートフォンのコミュニケーションアプリを用いて上司 とコミュニケーションをとり、テレワーク実施中にもコミュニケーションを推奨している。ま たテレワーク時の残業は原則禁止している。 ■環境整備上の工夫 全社員に、Web会議システム機能の付いたパソコン、スマートフォンを貸与し、仮想デス クトップを活用している。 ■生産性向上の工夫 在宅勤務をする労働者には、「仕事の生産性を高めること」を求めている。 テレワークの活用により、社内固定席をフリーアドレス化し、併せてペーパーレス化を実施し ており、ロボットによる業務自動化(RoboticProcessAutomation)を用いた定例業務の業務 プロセス改革にも取り組んでいる。 テレワークを導入し、通勤の労力をかけず仕事を開始することが可能となったため、集中し た仕事ができ、資料作成や企画書作成などの業務が効率的に実施されている。 また、業務プロセス改革の一環として業務フローの見える化をした上で定型業務を切り出し、 シェアードサービスへの移管やロボテックスを導入することで労働時間を削減。より高度な業 務への移行を進める取り組みを始めている。 23 ■その他 テレワークの積極的な活用を始める2015年度以前は、女性総合職の多くが入社10年前後で 離職してしまう傾向にあったが、現在は離職率が大幅に減少している。 また、総務省のふるさとテレワーク事業に参加しており、北海道斜里町でのテレワーク利用 や和歌山県南紀白浜町でのワーケーションを促進するための全社プロジェクトを展開中。社員 向けのパッケージツアーを作成し、利用促進を図っている。 日本航空株式会社
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