令和元年度第2回取材記事
働き方の幅を広げ、建築業界を活性化していきたい
場所にとらわれない働き方を進めている八尾トーヨー住器(株)。これまでのテレワークの進め方や、今後取り組んでいきたいことなどについてうかがいました。また、営業サポート、経営企画室、事務、配送センターで働く社員の方々とテレワークについてもご紹介します。
代表取締役社長 金子 真也さん(斑鳩オフィスの移転先にて)
トップダウンで新たな働き方を進め、社内に定着
これまでの取り組みを振り返っていかがですか?
各オフィスをフリーアドレス化しているため、営業系の社員がお客様訪問や打合せなどの予定に合わせて、より効率的に勤務できています。また、2019年4月から、育児休業から復帰した女性社員がフルタイムで在宅勤務しており(インナーセールス部・南さん:第1回記事に掲載)、順調に業務を行っています。
文書の電子化についてはトップダウンで進めました。紙資料ベースでの働き方の変更に、最初は抵抗感のあった社員は多かったようですが、「社員が楽になるために、ペーパーレスは進めなければならない」と決断しました。浸透した今、電子文書はなくてはならないものとなり、紙文書に戻りたいという声は聞きません。
今後、予定しているテレワーク活用・拡大予定をお聞かせください。
奈良県・斑鳩にあるオフィスを、法隆寺近くにある文久2年(1862年)に上棟された建物へ移転する準備を進めています。歴史ある雰囲気は保ちながら、フリーアドレスの事務所と、地域住民の方に利用いただけるフリースペースとを備えたオフィスとし、2020年秋ごろをめどに移転予定です。
現在は自社サーバーでデータを管理していますが、将来的にはセキュリティを担保したクラウドを利用したいとも思っています。そのほうがより場所を問わずに仕事ができることになります。
テレワークの本質は「人」だと考えています。当社で仕事を覚えて一生懸命働いている方たちに長く勤務してもらいたいですし、若い方たちに「この会社で仕事をしてみたい」と思ってもらい採用につながる手段の1つがテレワークです。
まだまだ古い体質が残っている建築業界で率先してICTを導入し、柔軟な働き方を取り入れることで、業界を活気づかせていきたいと願いながら引き続き進めていきます。
社内の受注書電子化で事務処理スピードアップ&リスクマネジメント効果も
発注や見積もり作業などを担当しているインナーセールス部の方々についても、お話を聞かせていただきました。
(左から)西 康絵さん(テクノハートセンター所属)、上嶋 香苗さん(斑鳩オフィス所属)、山口 宣美さん(伏見オフィス所属)、中原 恵里さん(泉大津オフィス所属)
インナーセールス部は各オフィスに社員が所属しています。大型モニターとビデオ通話システムで、オフィス間はいつでもやり取りができます。事務チームのWeb会議も行っています。
以前は5枚複写式だった受注書を電子化したことで、オンラインでの事務サポート体制が可能となりました。たとえばあるオフィスの事務担当社員が、家族の体調不良で急きょ休んだときも、別のオフィス所属の社員が遠隔でカバーできます。
インナーセールス部は女性社員が多く、今後、出産や育児、介護などによってオフィス出勤が難しくなる可能性はあると思います。そうなった場合もテレワークで業務が続けられる体制を整えていきたいです。現在、フルタイムで在宅勤務を行っている南さんのケースは、まさにこの体制づくりのテストも兼ねています。
従来の仕事のやり方では、現状の業績キープも困難になる
テレワークの推進をバックアップしてきた経営企画室長の西田さんにお話をうかがいました。
経営企画室長 西田 達司さん
少子高齢化の世の中、会社はテレワークを含めて幅広い働き方を持っていなければいけないと思うようになりました。能力があっても育児や介護などで仕事を離れなければならないのは、働く人にとっても企業にとっても痛手です。
慣れ親しんだ仕事環境の変化を受け入れるのは大変ですが、いろいろなセミナーなどに参加するうちに、変わっていかなければ時代に取り残されてしまうと痛感しました。人材が確保できない会社で業績アップは望めません。働きがいのある魅力ある会社だからこそ、お客様に満足いただけるサービスが提供でき、選ばれ続けるのだと思います。
複数の拠点で仕事をする女性営業社員
テレワーカーへインタビュー:実際にテレワークを行っている社員の方々へお話をうかがいました。
(左から)営業サポートチーム 山田 裕美さん、小竹 紗織さん
営業補佐の役割で、お客様へ水回りの建材を提案している営業サポートチーム。現在は女性社員2名から成っています。
山田さん:
普段は八尾オフィスに出勤していますが、1カ月のうち5日程度は他のオフィスで仕事をしています。たとえば朝は八尾オフィスで勤務、昼から京都のお客様訪問、その後は伏見オフィスで事務処理を行って帰宅するといったこともできます。モバイルPCを持ち歩いていますので、急遽子供が熱を出したなどというとき、オフィスへ出社することなく在宅勤務が可能です。
在宅で働ける環境が整っていますので、たとえば、出産を控えて出勤が難しくなってきた女性社員に在宅勤務で見積書・プラン作成などの事務作業に専念してもらい、外回りを私たちが専念するといった仕事のやり方もテレワークによって実現できるように思います。
小竹さん:
斑鳩オフィスで勤務しています。入社面接のときから当社の働き方に魅力を感じました。山田さんとは普段チャットツールでやり取りしています。水回りは女性のお客様が決められることが多いので、女性目線で商品のご説明をしているのですが、カタログを何冊も持ち歩く必要がなく、モバイルPCの画面で色などを確認していただけています。
ICT導入で配送が「見える化」し、チーム力も向上
(左から)角田 篤さん(配送部)、松井 亮平さん(配送部)、小田 昇平さん(総合支援部)
配送の拠点である「テクノハートセンター」。各配送車にはタブレット端末が搭載され、1分間ごとに更新される大型モニターには、GPSで取得した走行地点が表示されます。
かつてはドライバーが紙の地図で走行ルートを確認してから配送していました。現在は事前に配送先の住所をオフィス勤務者が登録しており、タブレットには目的地までのルートが表示されるため、ドライバーによる配送準備作業の負荷が大きく減りました。同業他社からの見学申し込みは多く、効率の良い配送システム導入の参考になればとご説明しています。
配送の「見える化」は、チームワークアップの効果も生み出しています。どの配送車がどこにいるかが一目瞭然なので、遅れている配送があれば自然と「助けよう」という気持ちになります。