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リコーITソリューションズ株式会社 テレプレゼンスロボットなど、コミュニケーションツールを活用することにより、テレ ワーク中の社員とも一体感をもって働くことができる環境を整備している。また、定年 後再雇用社員の50%がテレワークを活用した勤務を行っている。 ■制度の整備状況 社員一人ひとりのワークライフにあった働き方の実現に向けて、決められた時間・決められ た場所での従来型の働き方から、時間や場所をよりフレキシブルに選択できる制度への変革 を継続改善しながら進めている。 テレワークに関しては、2015年 4月1日に「在宅勤務規定」として 制定した。現在は、「リモートワーク 規定」と名称を改訂し、社員からの フィードバックをベースに、社員が制 度を使いやすくなるよう継続改善し ている。 さらに現在は図表1のエフェク ティブワーキングタイム(EWT)制度 (コアタイムを10:00-15:00としたフ 会社概要 基本的な事項 組織名 名称:リコーITソリューションズ株式会社 創立:1982年 組織代表者 役職社長執行役員 氏名石野普之(いしのひろゆき) 業種情報・通信業 所在地神奈川県 総従業員数947人(2019年4月時点) テレワークの導入形態 終日在宅勤務部分在宅勤務 サテライトオフィス勤務 テレワークの利用者数(過去1年間)383人(2019年6月時点) フレキシブル 時間 標準時間 オフィス場所 EWT エフェクティブ・ ワーキングタイム (コアなし) ショートワーク 〔短時間・短日数〕 テレワーク 裁量労働 リモートワーク拡大 サテライト 社内拡大 在宅 適用拡大 サテライト 社外拡大 EWT エフェクティブ・ ワーキングタイム (コア縮小) 従来型 (図表1制度の概要) 30 レックスタイム制度のこと)と、ショートワーク制度(多様な働き方の実現のため、育児・介護以 外の事由においても短い勤務時間の働き方を選択できるようにしたもの、一日の勤務時間を 短くする短時間勤務と、勤務日数を少なくする短日数勤務がある)を導入している。今後状況 を見ながら、フレックスタイムのコアをなくすなど、制度の拡大を検討する予定。 ■経営上の位置付け 社長がプロジェクトの責任者、本部長がプロジェクトの管理者として全社横断の働き方変 革プロジェクトを推進している。2017年度から毎年、全社方針の重点戦略の一つに「働き方 変革」を掲げており、その経営方針の下でテレワークの制度変革など個々の取組を進めてい る。継続的に取組結果をモニターし、経営レベルで見直しと改善を繰り返している。 ■周知・啓発方法 年度初めに実施している全社方針発表会および全国の各事業所に社長が出向き実施し ている会合で、方針として繰り返し解説し、取組の進捗を共有している。社内向けWebサイ ト上に「働き方変革ポータル」を作り、働き方変革の目指す姿や取組内容を周知、同ポータル 内に目安箱を設け、社員からの質問・意見にも迅速に対応している。マネージャー座談会、社 員座談会を定期的に実施し、テレワークを含めた多様な働き方の中から最適な働き方を「自 ら考え選択する」という理念の共有や、議論を行っている。働き方変革プロジェクトに事業部 からの推進委員を参画させ、事業部での活動や課題の共有およびプロジェクトの施策への 提言を行ってもらっている。テレワーク・デイズ期間は毎年特別協力団体として登録し、通達 や社内向け働き方変革ポータルサイトでプロモーション活動を行っている。 ■人事・労務管理の整備 勤務管理システムにて、通常の勤務と同様に各自が始業時間と終業時間を記録して管理 している。記録には社内で利用するクラウド・システムを活用している。以前はテレワークを実 施するたびに事前申請と上司の承認を必要としていたが、テレワークを特別に扱わないことと したため廃止した。パソコンのログを記録するツールにより、パソコンの起動とログオフ時刻を 自動取得し、客観的な記録も取得している。 評価制度においても、目標管理制度を導入し、期初に今期の目標を上司と決めて、期末に 評価とフィードバック面談を行っている。また評価基準明確化のために評価者研修を実施。さ らに評価者と座談会を行い、テレワークなど働き方によって評価が変わることがないように周 知徹底を行っている。 31 ■情報通信環境の整備 テレワーク時もオフィスと同等の勤務ができるように、カメラ付きで遠隔会議ができるパソコ ンと、すべての業務情報にアクセスできる環境をクラウドと仮想私設通信網(VPN)接続など で実現している。さらに首都圏ではスマートフォンを配布することで、パソコンがなくても社外 で仕事ができる環境を整備している(地方拠点にも順次配布予定)。 情報基盤の整備としてはネットワーク、セキュリティの抜本的な強化を実施した。 情報共有環境はクラウドに切り替えることで、いつでも、どこでも、どのような端末からでも 仕事ができる環境を構築した。情報セキュリティについては、セキュリティに関する意識向 上と、最新の知識を身につけてもらうため、毎年eラーニングを実施し、全員の受講と合格を 追跡し確保している。情報通信ツールなどの利用促進・活用方法の周知については、社内 Web上にポータルを作成して、情報発信を行っている。また職場での勉強会も定期的に実施 している。 【在宅勤務】 新たな働き方の実現に向けてIT環境を次のように総合的に再構築した。 ・セキュリティ対策が施されたノートパソコンを一人一台貸与。 ・セキュリティ対策が施されたスマートフォンを一人一台貸与。 ・仮想私設通信網(VPN)による安全なネットワーク環境を提供し、社内システムをどこ からでも利用可能にしている。 ・インターネットの回線を高速化し、社内システムを外部から利用する上での遅延を防い でいる。 ・クラウド環境に仕事の資料や情報を配置することで、どこからでも情報を取り出すこと ができるようにしている。 ・クラウドを利用したWeb会議、チャット、SNS、メールなどのコミュニケーション・システム を充実させている。社内会議はテレビ会議が原則となっている。 ・アプリケーションをスマートフォンで利用可能にし、パソコンがなくても仕事ができるよう にしている。 (図表2情報通信環境の整備) 様々な端末から利用可能なシステム ・内線PHSはスマートフォンへ更改 ・セキュリティ方針に基づく端末管理 ・一元的無線LAN認証システム ・端末の検疫システム ・ネットワークの増強 ・クラウドを活用した コミュニケーション基盤の統合 セキュアで高速なネットワーク環境統合 32 【サテライトオフィス勤務】 グループ各社の事業所にサテライトオフィスを設置し、そのどこでも勤務を可能として、 外出時にも自オフィスに戻る必要をなくしている。 ■健康で豊かな生活のための時間の確保 【労働時間の工夫】 テレワーク時にも始業・終業時間を柔軟に設定できるようにフレックスタイムの利用を促 進した。またショートワーク制度利用者も、在宅勤務日は通勤時間を削減できるため、希望 する者はその分、勤務時間を長くすることを可能とした。これにより早めに勤務を開始し て、夕方の時間を趣味や自己学習の時間に充てる社員が増えるとともに、ショートワーク制 度利用者の業務時間も増やすことができるようになった。 ただし、テレワーク利用者が長時間労働にならないよう、テレワーク時の時間外労働・ 休日労働は原則禁止としている。このような取組の結果、社全体の時間外労働時間が 16.5%削減し、一人当たりの時間外勤務時間月平均は2015年度が13.75時間であったも のが、2018年度では11.48時間まで削減できた。さらにテレワークの導入に合わせて、特に 時間有給休暇の有効活用を促進し、短時間の用事(子どもの学校行事や通院、各種手続 きなど)には、テレワークと時間有給休暇を組み合わせることで、一日休みを取る必要がな くなった。その分、有給休暇を自身の休暇や旅行、家族と過ごす時間に充てる社員が増加 した。 ■就労による経済的自立、多様な働き方・生き方の選択 【多様な人材の活躍】 グループ会社事業所内にリモートワーク可能なスペースを整備し、視覚障がいのため長 距離通勤が困難な社員がフルタイムで勤務できるようにしている。在宅勤務を活用し、身 体障がいを有する社員の通勤負荷を軽減し、特に雪や大雨等の悪天候時にも安全に勤 務できるようにしている。現在、障がいのある社員の26%がテレワークを活用している。 また、テレワーク利用対象者を正社員のみからシニア再雇用社員にも広げ、シニア社員 の再雇用率拡大につなげている。シニア再雇用制度を利用して、定年後も働き続けるシニ ア社員は増加傾向にあり、シニア社員の50%がテレワークを活用した勤務をしている。 ワーク・ライフ・バランスに関する事項 33 遠隔地マネジメント・分散開発・生産性向上 (図表3ロボットを活用したテレワーク) 【育児・介護と仕事の両立】 本社移転に伴い、通勤時間が1時間半以上となる社員が大幅に増加。特に育児や介 護の対応が必要な社員には積極的にテレワークを活用するよう促した結果、通勤時間の 削減によるワーク・ライフ・マネジメントの実現、人材の継続的就業につながっている。現在、 テレワークの利用者のうち14%が月11日以上利用しており、通勤手当の支給を停止して (出社時は交通費を実費精算)、自宅での勤務を基本としている。 ■社員の満足度 2018年12月に実施した社員満足度調査で、「あなたの職場では、個人やチームの状況 合わせて、最適な働き方を選択できるようになっていると思いますか?」という質問に対して、 53%の社員が「そう思う」と肯定的な回答をした。 ■遠隔地からのマネジメント 本社勤務をしていた財務経理部長が、2015年に家族を介護するため自宅のある秋田へ 戻らざるを得ない状況になった。そのため、業務の可視化と標準化、チームリーダーへの権 限移譲などの工夫と、特に紙の多い経理部門ではテレワーク推進のキーとなるペーパーレス 化を本格的に実施。さらに、Web会議システムに遠隔操作の機能を付加したテレプレゼンス ロボットを導入し、秋田から遠隔で本社に勤務する部下を問題なくマネジメントしている。 いつでも声をかけられる・顔が見えている状態をつくることで、本社に部長が実際にいなく てもメンバーとつながっているという安心感が生まれ、これまで以上にコミュニケーションが取 りやすくなった。 34 リコーITソリューションズ株式会社 ■拠点を跨いだ分散開発 働き方変革の一環の施策である情報通信環境の再構築(クラウドの導入等)によって、場 所にとらわれず業務を行えるようになった。それにより、地方拠点から首都圏に転勤して働い ていた社員7名が、地方拠点に戻って問題なく業務を継続できている。 そして、全国にそれぞれの技術的得意領域を持った8つの拠点があるが、1つのプロジェク トに複数の拠点メンバーが参加して開発を行う分散開発が当たり前に行われている。クラウ ドの開発環境とコミュニケーション環境を使い、開発を効率的に実施している。 ■生産性向上の工夫 テレワーク本格導入に合わせ、本社オフィスにフリーアドレスを導入し、10%程度の席数を 削減できている。また、部門に割り当てるキャビネットは1つのみとし、キャビネット数の8割を削 減、個人に割り当てるロッカーも段ボール箱サイズの一つのみとし、紙文書を大幅に削減する ことができた。これによりオフィスの省スペース化を実現するとともに、テレワーク実施の必要 要件であるペーパーレスを推進できた。 これら施策の実施によるテレワークの導入により、時間外労働時間を対2015年度比で 2018年度は16.5%削減できた。また2018年度は、前年比で売上高約12%増、営業利益約 20%増と業績を向上させている。 35
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