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 トップダウンでテレワークを実施し、さらに顧客との商談をはじめとした一連の業務をリモートにて行っている。事業場外みなし労働時間制や裁量労働制など柔軟な労働時間制を導入し、育児や介護が必要な従業員がテレワークにより時間に縛られない勤務を行えるようにしている。 会社概要 組織名:名称:株式会社プロアス 創立:1978年 組織代表者:代表取締役社長 伊藤 泰充(いとう やすみつ) 業種:情報通信業 (医療事務の総合支援サービス/システム開発/導入/保守) 所在地:大阪府 総従業員数:106人(2022年6月時点) 正社員:28人 パート:73人 契約社員:5人 テレワークの導入形態:終日在宅勤務 部分在宅勤務 ワーケーション テレワークの利用者数(過去1年間):91人(2022年6月時点) 正社員:28人 パート:58人 契約社員:5人 テレワークの導入 テレワーク導入の目的(経緯)  テレワーク導入による社員満足度の向上や子育て世代に当たる社員の離職防止を目的として、2017年より要育児対象者に絞って段階的に導入し、2019年から本格導入している。 テレワーク導入による成果(目的の達成)  2017年初期に実施した社員満足度調査における『総合的に見て、今の働き方に満足していますか?』という質問に対し、5段階評価の4と5の合計人数が65%だったが、2022年には94.7%に向上した。2021年度における、働き方や勤務地が理由での正社員の離職は0名となっている。  主な事業として医療事務の総合支援サービスを行っているが、その中での医療事務業務採用面において、在宅勤務を前提としたことで、子育てなどの家庭事情や居住地に縛られず、日本全国から医療事務の知識を持つ人材の雇用を生み出すことができている。  テレワーク前提での業務体制を築き上げたため、採用段階からテレワークで応募をかけて日本全国から採用しており、2019年2月~2022年9月にかけての採用は69名となり、その中には海外からのテレワーク勤務者も採用している。また、育児や家族の介護を行っているなど、就労が困難で、なかなか職場が探せなかった方々についても、18名採用している。 基本的な事項 制度の整備状況  社内ポータルサイトにアップしている勤務ガイドラインに、テレワーク制度(後述の「実施環境の整備(労務管理面)」など)について記載している。勤務ガイドラインは全社員が閲覧可能な社内ポータルサイトに掲示すると共に、全社員宛にメールにて配信している。  本社オフィスにおいてはテレワーク導入当初30名程度の在籍者数であった。顧客や取引業者の希望による対面での打ち合せや、郵送物の整理などの理由による出社だったが、営業職が中心に、リモート会議を推奨した事で、必要時以外の出社がなくなり、1日2~5名程度の出社となったため、オフィス面積を2021年4月には半分以下にすると共に、自由な働き方の一環として、好きな時に好きな場所で働けるという意味合いを込めて、フリーアドレス化した。 テレワーク利用者について  委託先勤務のパート社員15名はテレワークを利用していないが、本社勤務の社員全員(正社員、パート社員、契約社員)がテレワークを利用している。 実施環境の整備(労務管理面)【労働時間管理】  オンライン上の管理シートをタイムカードとして活用しており、社員が勤怠(勤務開始・終了、休憩開始・終了、年休取得)を入力して管理者に報告している。自己申告を基本としているが、管理者が全勤務日の承認を行っており、労働時間が適正に申告されているかを確認するためや、虚偽申告の抑止力としてPCのログ管理ツールを導入している。 【中抜けの取り扱い】  中抜けは休憩時間として扱い、何回・何時間取得しても構わないこととしている。システムエンジニアをはじめとする正社員には専門業務型裁量労働制を採用しているため、中抜け時間の報告は不要としている。短時間労働者はオンライン上のタイムカードに休憩時刻開始・終了を入力することとしている。 【テレワークを行う際の作業環境整備と費用負担の取り決め】  在宅勤務での電気代などの補助を目的として、「在宅勤務手当」を正社員には1カ月5千円(光熱費・通信料の公私割合を考慮)、短時間労働者には1日250円(20日勤務)支給している。 【メンタルヘルス対策を含む健康確保対策】  正社員には外部サービスを利用して、ストレスチェックを1カ月に1回実施している。高ストレス者に対しては、直属の上司から原因を聞き、産業医とのオンライン面談の実施により翌月から改善に当たっている。短時間労働者には3カ月に1回、勤務状況に関するアンケート(勤務の多い少ない・質問しやすい環境か・ご家族のご理解は など)を含めた総合的な満足度を確認しており、2022年11月からは毎月実施予定である。 実施環境の整備(情報通信環境面)【在宅勤務】  テレワーク対象者全員にノートPCを貸与している。医療業務従事者は細かなデータを取り扱うため、業務の効率化を目的として全員にモニターを貸与している。ポケットWi-Fiは希望者に貸与している。 ワーク・ライフ・バランスに関する事項 健康で豊かな生活のための時間の確保【労働時間の柔軟な取り扱い】  正社員には事業場外みなし労働時間時間制と裁量労働制を導入しており、柔軟な業務時間にて勤務可能となっている。短時間労働者(パート社員)については、自由な開始時間・終了時間・休憩時間としている。具体的には翌月30日分の勤務の目安を事前申告することとしており(日ごとに『終日OK』『午前OK』『午後OK』など)、タイムカードに自己申告にて記載している。 【長時間労働対策、時間外・休日労働時間の削減】  休日・所定外深夜労働を行う場合は、上長への事前申請と承認を必要としている。過度な働き方防止の観点から事前申請~承認を行うようにしている。タイムカード上、本人の希望する勤務時間より多い場合には、休暇取得などの業務調整を行っている。また、業務時間外のメールやチャットについて、送信抑止に関するルールは定めていないが、返信義務はないことを、経営トップから全社員に周知している。このような対策の結果として1人当たりの所定外労働時間は月間30時間に収まるよう調整している。 【ワーケーションの取り組み】  正社員、短時間労働者といった雇用形態に関係なくワーケーションを認めている。ワーケーションとして旅行先・帰省先での勤務が増えており、2021年10月~2022年9月のワーケーション実施実績は4件となっている。ただし、情報セキュリティ対策上、フリーWi-Fiは使用不可とし、会社から貸与しているポケットWi-Fiなどを利用することとしている。  ワーケーションを認めることで、自分にあったライフスタイルを選ぶ幅が広がり、新しい視点や発想を生み出せるチカラや、このような働き方を求める優秀な人材の採用が期待できる。 多様な働き方の選択 【育児・介護の要のある者】  妊婦や未就学児(0歳~5歳)の育児が必要な社員、介護が必要な家族がいる社員全員(育児0~5歳:20人、介護2人)がテレワークを活用している。 【医療機関とのオンラインでの取り組み】  対面が多かった顧客(医療機関)との打ち合せも、オンラインを前提としている。つまり営業活動についてもテレワーク化が実現できている。問い合わせから商談、受注、契約、保守に至るまですべてオンラインで実施している顧客も多数(全体の8割)存在している。対面での顧客とのコミュニケーションが減ることによって、コミュニケーション不足に陥る懸念の声もあったが、コロナ禍において対面でのコミュニケーションが取りづらくなり、それを機にオンラインに切り替えた。また、オンラインにハードルの高さを感じられる顧客に対しては、IT会社である弊社の特色を活かし、事前に環境確認、電話でのフォローアップなどで円滑に進めるようになった。 社員満足度  2022年4月に実施したテレワーク実施部門の社員に対する「ウィズコロナの働き方について」に関する社内アンケートにおいて、「勤務の仕方に満足しているか」という質問に対して、 94.7%が満足していると回答した。 他社の模範となる取り組みに関する事項 推進体制 【経営トップのコミットメント】  2017年の全社会議にて経営トップがテレワーク推進を宣言し、自身が率先してテレワークを実践すると共に、テレワーク環境の整備や在宅勤務を前提とした採用活動を積極的に推進している。これまでの採用実績としては2020年8人、2021年27人、2022年31人(10月現在)となっている。 【社内周知の工夫点】  2017年にテレワークの導入が決まった際、社員が自分事としてテレワークを捉えるために、グループミーティングでテレワークの効果とメリットおよび課題についての話し合いを行った。2018年には部門単位でトライアルを強制的に実施し、課題の洗い出しと解決を進めた。テレワークでも生産性の指標※を用いて比較確認し、生産性が落ちないことが実感でき、テレワークに否定的だった社員にも浸透していった。新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、テレワークの定着がさらに進み、2019年において10%だったテレワーク実施率は2022年8月には77%となっている。 生産性KPI:プログラム開発本数、障害発生率、電話サポート本数 労務管理上の工夫 【テレワーク環境の整備】  コミュニケーションツール(チャット、Web会議)を整備したほか、書類の電子化や手続きのクラウド化を徹底している。経費精算・給与明細・年末調整といった経理業務や採用・入社手続きもテレワークで完結できるよう工夫している。  営業活動においても受発注やFax送受信をクラウド化している。また、電話応対のために出社しなくてよいよう、必要な社員にスマートフォンを貸与すると共に、電話一次受け代行サービスを導入している。 【人事評価の工夫】  正社員については、粗利目標が1人ずつ設けられている。裁量労働制のため、業務時間にかかわらず評価が行われている。短時間労働者においては、実績を業務時間で割った『効率』と、成果物の『品質』で評価している。 【人材育成(社内教育・研修)の工夫】  正社員については、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を通じた、情報システムの取り扱いについて年1~2回研修している。短時間労働者については、入社1日~3日は出社してテレワーク機器、勤務の連絡方法などを教育し、それ以降は、完全テレワークとしている。また、情報セキュリティ教育のための資料を独自作成してオンライン配信し、欠席者にはアーカイブ動画を配信している。 【ハラスメント対策への取り組み】  常にオンライン状態であることなど、在席状況の監視を行わないよう管理職参加の会議(月1回)にて経営トップが指導しており、Webカメラの起動についても強要していない。Web会議接続時のデフォルト設定はカメラOFFとなっている。また、ハラスメント相談窓口を設置し管理部が窓口を担っている。
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