目は口ほどに伝えられないテレワークでのコミュニケーション
テレワークでのコミュニケーションは、対面の時とはまた勝手が違います。「目は口ほどに物をいう」と言われますが、リモートでの打合せの際など、webカメラで切り取られたパソコン画面の表情からは、対面の時ほどには気持ちが伝わりません。オフィスでは非言語(身振りや態度等)で伝えていた本音の部分は、テレワークでは抜け落ちてしまうこともあるのではないかと思います。相談コーナーにおいても、このような場合にどうすればよいか、という相談をよく受けます。
テレワークでは、抜け落ちた分を意識的にコミュニケーションの量と質で補っていく必要があります。web会議、チャットツール等で、日々の挨拶、お昼休みの雑談、朝夕のグループ内でのミーティング等、コミュニケーションの機会を意識的に増やして、相手の存在を認め合う機会をどんどん増やすことが効果的です。
また仕事をする上で肯定的(褒める、称える、励ます等)なことを伝えることもあれば、否定的(叱る、注意する等)なことを伝えなければならないこともあります。どのように伝えるのか、それによっても受け取るメッセージが変わってきます。
業績を表彰されたことをお祝いしたり、プレゼンがうまくいったことを褒めたりと、相手にとって励みになり、教育的効果も高くなります。一方で、「常に」条件付きで肯定されると、自分のことを道具としか見られていないと受けとめられがちですので、実は注意が必要なコミュニケーションの1つです。
指摘された行動や態度を改めさえすれば自分の存在を認めてもらえるというメッセージとして伝わり、相手の成長につながる接し方です。何か注意をしたいところがあれば、その部分に絞り伝えていく方が相手も受け止めやすくなります。
相手を尊重している、必要としていることが伝わるメッセージであり、コミュニケーションをする上で最も大切なものです。条件付きで褒めたり注意したりすることで、教育・成長を促すことができますが、その大前提として相手を尊重していることを伝えられているかがカギです。普段何気なく接していると、日頃の感謝を忘れがちではありますが、積極的に発信したいコミュニケーションです。
自分の気に入らない成果だったときに、無条件に相手を否定しがちです。理由もわからず否定されれば、人格を傷つけられ、辛くなります。お互いの信頼関係を築けていない時に無条件で否定する発言は「つい」では許されなくなります。特にオンラインの場合、非言語でフォローもできず、きつく伝わりがちで、やってはいけないコミュニケーションの1つです。
日頃の会話の中でほんの少し、自分が発信するメッセージを意識するだけで、コミュニケーションは劇的に改善します。離れていても、一緒に仕事をしていくテレワークは、今まで以上に良質なコミュニケーションが仕事の効果を上げます。テレワークをする中で、ご自身のコミュニケーションを改めて振り返ってみることで、自分や周囲に対する新たな発見があるかもしれません。
(参考)
上記の4つの分類は交流分析の1つです。働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」(厚生労働省)にも交流分析について説明がありますので、ご興味のある方はぜひこちらもご参照ください。
こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/
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執筆者
一般社団法人テレワーク協会 客員研究員 川田理華子(かわだ りかこ)
(社会保険労務士、ソフトウェア開発技術者<現 応用情報技術者>)