育児介護と仕事の両立支援に向けて、テレワーク導入の意義とは?
5月31日、改正育児・介護休業法が公布されました。これまで育児に関する支援の中心は「3歳になるまでの子」を養育する労働者でしたが、今回の改正では「3歳以降小学校就学前までの子」に拡充されています。子どもを育てながら、また介護をしながら柔軟に働けるような制度の導入が企業に義務付けられました。
改正育児・介護休業法のテレワークに関する改正内容は以下の通りです。
子が3歳になるまでの両立支援 |
現在は、育児休業に関する制度に準じる措置・始業時刻の変更等。 |
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子が3歳以降小学校就学前までの両立支援 |
事業主は、
※テレワーク等と新たな休暇は、原則時間単位で取得可 |
介護との両立支援 |
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https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000788616.pdfより
今回の法改正の背景には、深刻な少子高齢化があります。子育てや介護をしつつ、仕事を両立させることは並大抵のことではありません。急な発熱やケガ等の突発的な事態が生じることもある中で、仕事だけを優先させられない個々の事情があります。個々人の希望や事情に応じた選択ができるよう、今回の改正ではテレワー以外にも両立支援制度が拡充されています。
今回の改正を契機に、テレワークの努力義務をにどう対応するのか、というだけでなく、企業として両立支援も含めた働き方の改革をどのように実現していくのが問われています。両立支援制度を利用する人の増加とともに、そのような制約を受けず働ける人へのしわ寄せも合わせて考えていかなくてはなりません。単なる両立支援制度への対応策として、企業全体の業務の一部分にテレワークを導入するのではなく、誰もが特別の理由なくテレワークや休暇を利用できるよう、属人的な業務を見直し、業務全体のICT化を図っていくのかを考えていくことも重要です。まずはこの両立支援策を制度として定着させながら、将来的には、働く人すべてがもっと柔軟な働き方を選択でき、その結果、成果を出し、働き甲斐を上げていくのかを考え続けていく必要があると思います。
テレワークは本来手段であって、目的ではありません。単に、法改正に合わせてテレワークを制度化する、というよりも働く人が活力を持ちつつ、長く働けるためにどのようなことが必要か、企業が「ビジョン」をもって、どのように「支援」していくのか、その中でテレワークという有効な「手段」をどのように、活用していくのか、といったことが企業の持続的な発展にもつながっていくと考えます。
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執筆者
一般社団法人テレワーク協会 客員研究員 川田理華子(かわだ りかこ)
(社会保険労務士、ソフトウェア開発技術者<現 応用情報技術者>)