厚労省ロゴ

総務省ロゴ

文字サイズ

福岡県田川市

【取材日:平成30年1月29日】

ワーケーション

地域交流

テレワーカーの力を集め商店街を活性化、“まちづくり”に取り組む

カラフルな椅子が配置され、明るい雰囲気がある。

福岡県田川市の後藤寺商店街。昔ながらの商店が軒を連ねるこの場所に、テレワークやコワーキング利用可能なスペース「おしごとテラスkatete(カテテ)」があります。「カテテ」とは、田川市の方言で「仲間に入れて」という意味。平成29年1月の開設から着実に仲間を増やしながら活動し、積極的に地域を盛り上げてきました。テレワークセンターの運営を担う株式会社コミクリの花石恵子氏、常駐スタッフの柚木園あさぎ氏、そして「katete」を利用するテレワーカーのお二方に話を伺いました。

目次

1.場所や時間にとらわれない、柔軟な働き方をサポート

2.地域活性化への想いで団結して進めたテレワーク事業

3.テレワークが生み出す新しい働き方と可能性

4.自分の生活に合わせた、無理のない働き方

5.今後の課題は地域の新しい担い手による仕事の受発注

6.本事例についてのお問合せ先

1. 場所や時間にとらわれない、柔軟な働き方をサポート

インタビューに応じていただいた花石氏
▲田川市を盛り上げるため、その人脈を活かしてさまざまな活動を行う花石氏。田川市のマスコットキャラクター「たがたん」の絵かき歌のアニメーション動画を自らプロデュースしている

まず「katete」がどういった場所で、どんな活動をしているのか教えていただけませんか?

花石氏:基本的にはテレワーク事業の拠点として、作業・展示スペースの貸出しやイベントといったことを行っています。テレワークの仕事の流れについてですが、仕事を受注したい方は最初にテレワーカーとして「katete」に登録をしていただきます。企業や団体から「katete」に依頼のあったお仕事を、こちらで登録者の適正と照らし合わせ紹介をしています。登録に際し、年齢や性別、住んでいる場所は問いません。無料で登録可能です。また業務の種類は幅広く、データ入力やライティング、ウェブデザイン、経理代行といった職種を案内することもあります。個々のワーカーさんの受注した仕事は、それぞれが自由な場所で作業していただいて構いません。自宅でされる方もいますし、テレワークセンターのパソコンやプリンターをレンタルして使うこともできます。期日までに仕事を終え、納品まで完了したら「株式会社コミクリ」から報酬をお支払いします。
テレワークセンターはコワーキングスペースにもなっており、会社員や自営業の方がご自身の仕事をする場所としても利用できます(1時間200円~)。また月に1度、ビジネスに関するさまざまなテーマを扱うセミナーを開催しています。

2. 地域活性化への想いで団結して進めたテレワーク事業

どこかノスタルジックな雰囲気のアーケード商店街。
▲懐かしい昭和の空気感の漂う後藤寺商店街。夕方になると下校途中の子供たちの声が響きます

どういった経緯で田川市にこのテレワーク・コワーキングスペースが生まれたのですか?

花石氏:私はもともと田川市の市役所に勤めていました。そのつながりから平成28年3月に子育てママ向けの応援講座を開いたんです。講座の中で、場所や時間にとらわれず働けるテレワークについて話す機会があり、そこに現在「katete」を運営している株式会社コミクリの社長である佐藤弘人さんがいらしていました。
コミクリは東京に本社のあるIT会社ですが、佐藤さんは田川市出身で、いつか地元に恩返しをしたいと考えていたそうです。講演後に佐藤さんとお話をした時に、田川市でテレワークのできる場所を作ろうという案が出て、田川市とコミクリを含め、株式会社日本ピュアシステム、株式会社シンク、NPO法人ママワーク研究所と地域ICT人材データベースの4つの企業を巻き込んで、総務省の「ふるさとテレワーク推進事業」に参加し、実施することになったのです。
その後のテレワークの拠点選びにも時間を割き検討しましたが、最終的には地元の後藤寺商店街のアンテナショップだった場所を改装して使うことになりました。かつて田川市は炭鉱の町として栄え、当時の後藤寺商店街は人が通れないほどのにぎわいでした。現在はシャッターの閉まった店も多く、人通りも減りましたが、平成29年1月の「katete」オープニンセレモニーには本当にたくさんの人が来てくださって。田川市の市長も「みんなで応援していこう」と、後押しをしてくださいました。

3. テレワークが生み出す新しい働き方と可能性

スタッフの柚木園さん。笑顔でお仕事をされています。
▲テレワークセンターに常駐するスタッフの柚木園さん。テレワーカーの心強い味方です

「katete」の運営開始からの成果や気づいた点を教えてください。

花石氏:当初の目標は、3月までにテレワーカーの登録者数を30人確保するというものでした。地元の広報誌等に告知を掲載したり、オープン前に「そもそもテレワークってなに?」というテーマでシンポジウムを開催したり、認知度を広めるための活動をしました。シンポジウムではお子さん連れのママさんが多く参加していました。そこでモニター付きの育児ルームを用意したところ、ママさんから好評を得られ、結果的に3月で36人が登録してくださり、その月から業務を開始しました。そこまでスピード感を伴って進められたのは、広報誌や新聞掲載の告知効果もありますが、もともとニーズがあったからと考えています。そして拠点となる場所に常駐スタッフを配置していることも、利用する方々に安心感をもたらし、登録の後押しをしたのだと思います。
今でも登録についての説明会を開いたり、イベントにブースを出展したりは、随時行っています。そのかいあって、平成30年1月現在で登録者数は68人にまで増えました。ママさんだけではなく、テレワーカーの方々もさまざまです。長く仕事をしていなかった人、求職中の人、自営業の人など。もちろん就職した方も登録は継続できるので、自分のスキルを無理せず活かすことができます。

4. 自分の生活に合わせた、無理のない働き方

設備と環境が整っているからこそ集中して仕事に取り組むことができる。
▲設備と環境の整ったテレワークセンターでは、集中して仕事をすることができる

集中して仕事にできるのはスタッフの方のサポートの力も大きい。
▲花石さんと柚木園さんが連携し、利用者が円滑にテレワークできるようサポート

「katete」でテレワーカーの登録をして働いている方にもお話を伺いしました。

中村氏:私はオープニングセレモニーのことが載った新聞記事を読んで、平成29年2月に登録しました。これまで会社勤めだったこともあり、テレワーカーに対し最初は少し戸惑いもありましたが、自分の好きな場所で好きな時間に仕事ができることはうれしいです。クラウドソーシングのオンラインサービスにも登録をしていましたが、連絡の行き違いなどでやりづらさがありました。でも「katete」は常駐スタッフの方のフォローも手厚く、快適に仕事ができます。またセミナーなどをきっかけに新しい交流も広がって、自分自身のビジネスチャンスにもなっています。

長野氏:私も同じように新聞記事で知りました。専業主婦でしたが、子供が小学校に上がるタイミングで何か仕事を始められないかと思ったのがきっかけです。子供を学校に送り出してから、今は主に自宅でデータ入力業務を行っています。夏休みや冬休みは家族との時間が忙しく、少し仕事のペースを落とし作業しています。こうした仕事量の調整を自分でできるのはうれしいですね。

5. 今後の課題は地域の新しい担い手による仕事の受発注

「katete」にかかわる皆様。
▲左から「これからもkateteを通じて後藤寺商店街を盛り上げていけたら」と話す花石氏、中村氏、長野氏、スタッフの柚木園氏

「katete」の活動と、商店街を含めた地域との関わりにはどういったものがありますか?

花石氏:一年で一番大きなイベント「ひなめぐり」の際には、商店街の空き店舗を利用して体験出店をしたり、後藤寺のお祭りで行われる神楽舞に合わせてテレワークセンターを開放し、ワインの試飲や足つぼ等のブースを設けたりと、地域の催しには積極的に参加しています。テレワークセンターでの活動が、後藤寺商店街を知って足を運ぶきっかけになれたかなと思います。
田川市の企業から入るプロジェクトの依頼も少なくありません。地域の仕事を地元の人が取り組み、地域でお金が回る。これこそが地域貢献であり、その積み重ねが「katete」の発展につながると思っています。

今後のテレワークの課題と、これからの活動の方向性についてお聞かせください。

花石氏:現在は単発的な仕事の依頼が多く、継続的な仕事を増やしていくことが課題の一つです。次に「katete」ならではの仕事をもっと創出していけたらと思っています。
登録しているテレワーカーの方々はライターやデザイナー、プログラマー等、さまざまな方がいらっしゃいます。皆さんのスキルの高さや仕事に対する意識の高さに驚いています。それぞれの得意とする力を合わせれば、よりハイレベルな仕事に着手できますし、新しい展開が生まれるかもしれません。
先日、「katete」1周年の活動報告会を行ったのですが、オープニングセレモニーと同様に田川市の市長をはじめ、多くの関係者、マスコミの方々にも来ていただきました。田川市だけではなく、いろんな場所の人と人をつなげて新しい仕事を生み出していく。私自身、田川市をもっと活性化させていきたい気持ちが強いですし、それが結果的に「katete」の発展にもつながると思っています。

お問合せ先

おしごとテラスkatete(カテテ)

電話 0947-23-2035

おしごとテラスkatete(カテテ)
ホームページ

https://katete.co/

(参考)平成28年度予算補助事業の取組内容はこちら
ふるテレ事例一覧へ戻るふるテレ事例一覧へ戻る

お問い合わせアイコン
お問い合わせ

テレワーク相談センター

0120-861009

9:00〜17:00(土・日・祝日を除く)