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沖縄県竹富町

【取材日:平成30年10月16日】

地元雇用・地元ワーカー

離島の課題解決にテレワークを活用
西表マインドにマッチしたテレワークの在り方とは

シェアオフィスは青々とした空に映えるブラウンの建物

沖縄県竹富町は、八重山諸島に属する大半の島を擁する自治体。その島々の一つである西表島は、竹富町を構成する島の中で最大の面積を持ち、ほとんどが原生林に覆われています。イリオモテヤマネコを代表とした、他では見られない独自の生態系を築いています。

今回は、そんな西表島でふるさとテレワークを実施しているブルー・オーシャン沖縄の崎山喜一郎氏、竹富町役場 政策推進課の横目欣弥氏にお話を伺いました。西表島にシェアオフィス「Painushima Share」を構え、島民のテレワークをサポートしています。都市部から遠く離れた離島でテレワークを実施するには、離島ならではの苦労があったようです。

目次

1.リーマンショックによる人口減をきっかけに多様な働き方を模索

2.仕事を“与える”から“選んでもらう”ことでテレワークがうまく回り出した

3.シェアオフィス「Painushima Share」は地域のコミュニティスペースに

4.竹富町とブルー・オーシャン沖縄が連携して移住者の生活と仕事をサポート

5.沖縄県も竹富町の取組に注目している

6.本事例についてのお問合せ先

1. リーマンショックによる人口減をきっかけに多様な働き方を模索

インタビューに応じていただいたブルー・オーシャン沖縄の崎山さん
▲ブルー・オーシャン沖縄の崎山さん

西表島でテレワークを導入するまでの経緯を教えてください。

崎山氏:私と竹富町との関わりは、15年前にブロードバンド回線設営のために西表島を訪れたことから始まります。その作業を通して西表島の状況に関心を持ち始めました。ネットワークインフラを利用して、島の暮らしを良くできないかと思い、いろいろと改善策を提案してみたんです。でも、当初は受け入れてもらえませんでした。

インタビューに応じていただいた竹富町政策推進課の横目さん
▲竹富町 政策推進課の横目さん

横目氏:沖縄には「離島苦(島ちゃび)」という言葉があります。生活インフラや医療・福祉などのサービスが乏しく、台風に代表される自然災害もあり、離島は本土など都市部に比べて暮らしの苦労が大きいという意味です。

崎山氏:しかし、それでもなお離島に住んでいる人たちは、離島苦から逃げず、便利さを安易に享受することをよしとしません。西表島の人は特にその傾向が強く、だからこそ私の提案をその時は拒否したのだと思います。

青空と草木の緑に八重山の海がきれいに映える
▲ビーチから眺める八重山の海。風光明媚な景色で重要な観光資源である一方、人や物資の移動には多大な時間とコストがかかり、それが離島苦(島ちゃび)につながっている

横目氏:竹富町は移住希望者が多い地域ですが、離島では地域のコミュニティに深く関わらなければ生きていけません。その壁にぶつかって移住を諦める人も多く、長年の課題でした。そんな折、2008〜9年頃のリーマンショックの影響で島の観光産業が大打撃を受けてしまいました。その結果、竹富町から転出者が増加したんですね。観光に頼った町の経済基盤の危うさが顕在化したため、働き方と産業の多様化が急務になったんです。

2.仕事を“与える”から“選んでもらう”ことでテレワークがうまく回りだした

シェアオフィスの内観はおしゃれなカフェのよう
▲お話を伺ったシェアオフィス「Painushima Share」

竹富町では2015年にも、平成26年度補正予算『ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業』を実施しましたが、ブルー・オーシャン沖縄はどう関わっていたのでしょうか?

崎山氏:2015年は他社が主体で、我々は現地の企業としてサポートしていました。そもそもブルー・オーシャン沖縄は、ICTコンサルティングを通して沖縄の離島を活性化させることを自社のミッションとして活動しているので、ふるさとテレワーク事業には非常に共感しています。

取組当時と現在では、何か違いはありますか?

崎山氏:結論から言うと、2015年と今は全く違うやり方をしています。2015年の主な取組は、西表島の人たちを在宅コールセンターオペレーターとして育成することでした。ただ、離職率が高くうまくいかなかったんです。

なぜうまくいかなかったのでしょうか?

崎山氏:標準化したテレワークを割り当てて、テレワーカーを画一化しようとしたためです。決まった仕事をみんな同じようにこなしてもらうというのは普通のワークスタイルですが、それが竹富町には当てはまらなかった。離島の人は、農業や観光業などテレワーク以外にも仕事を持っている人がほとんどで、結構忙しいんですよね。だから、拘束される働き方が合わなかった

海をぐんぐん進む連絡船を遠くに眺める
▲西表島に到着する連絡船。竹富町にとって観光客を運び、町民の生活を支える重要な生活インフラだ

その反省を活かして、現在はどのようなスタイルで働いてもらっているのでしょうか?

崎山氏:Webデザインやライティングなど複数の仕事を用意して、その中から自分のやりたい、合っている仕事を選んでもらえるようにしました。つまり、仕事を属人化したんですね。これによってうまくサイク

仕事を属人化する方法が合ったのは、どうしてだとお考えですか?

崎山氏:農業とテレワーク、二足のわらじで忙しいので、自分のペースで作業できるということがまずひとつ。それに加えて、不便でも「島に住む」ことに価値を見出す、西表島の人のメンタリティにもマッチしたのではないかと思います。先ほどの「離島苦(島ちゃび)」に重なるところがあるように、西表島の住人はたとえ儲かる仕事であっても、自分たちの生き方・暮らし方に馴染まないことはしたくない。西表島に移住してきた人も、多くが豊かな自然の中で自給自足の生活をしたいと考えていますから、それを阻害されるような仕事は合わなかったのではないでしょうか。ク

3. シェアオフィス「Painushima Share」は地域のコミュニティスペースに

現在、竹富町には何人のテレワーカーがいるのでしょうか?

崎山氏:30人おりまして、うち22人が竹富町に移住してきた方です。女性が20人で、男性が10人、平均年齢は30代後半くらいですね。みなさん普段は観光業や農業に従事していて、ダブルワークとしてテレワークに参加しています。

テレワーカー同士の会議の様子
▲石垣島に集まって行われたテレワーカー同士の会議。子育て中の主婦もいるので、子どもの姿も

その方々がテレワークをする時は、このシェアオフィス(Painushima Share)を利用しているのですか?

崎山氏:実はテレワーカーの方々は、あまり「Painushima Share」にはいらっしゃいません。やはり他の仕事が忙しいようで、自宅での作業が多いですね。どちらかというと旅行者の人が訪れたり、テレワーカーでない島の人が休憩に立ち寄ったりしています。ここで青年団の会議が行われたこともありますよ。

真新しいブラウンの壁も違和感なく島の風景に溶け込む
▲まだ真新しい壁が印象的な「Painushima Share」の外観。近くにある信号機は、日本でいちばん南にある信号機なのだそう

「Painushima Share」はどんな経緯で作られたのでしょうか?

崎山氏:2015年に在宅コールセンタースタッフの育成で使っていた竹富町離島総合振興センターを、場所を移転してシェアオフィス「Painushima Share」に変更しました。大原港から徒歩3分と好アクセスで、来島者も利用しやすいのが利点ですね。

連絡船が着岸する西表島大原港の桟橋は琉球の色が濃い
▲石垣島との連絡船が発着している大原港。西表島の玄関口だ

コワーキングスペース以外には、どんな使われ方をしていますか?

崎山氏:Web会議を使ってディスカッションやセミナーなども行いましたね。離島に住んでいる人が他の島で何度も集まるのは物理的に難しいので、テレワーカーがここに集まってインターネット経由でセミナーを開いてもらいました。

Webをつうじて行ったワークショップの様子。広い内部には人を集めることもできる。
▲遠方の企業とWebを通じて、「Painushima Share」でワークショップを行ったことも

4. 竹富町とブルー・オーシャン沖縄が連携して移住者の生活と仕事をサポート

テレワーク事業について、今後の展望をお聞かせください。

崎山氏:ブルー・オーシャン沖縄としては、近いうちにテレワーク事業を交付金なしで運用していきたいと考えています。交付金はあくまで助走なので、自社のビジネスとしてしっかり自走させたいですね。もちろん、竹富町とはこれからも変わらず連携していきます。

横目氏:竹富町への移住希望者に対して、移住のサポートは町、仕事のサポートはブルー・オーシャン沖縄というような役割分担を考えています。離島の生活は、住民同士が助け合わないと成り立ちませんし、島の文化や伝統を守っていくための協力も必要です。移住希望者には、そこを了承できるかどうかをしっかり問いかけます。今後は移住後のミスマッチを防ぐために、お試し移住などのトライアル制度を作っていきたいですね。

テレワーカーのために様々なパンフレットや雑誌が置かれるカウンター
▲「Painushima Share」には様々なパンフレットや雑誌が置かれている。テレワーカーにとって重要な情報源のひとつだ

5. 沖縄県も竹富町の取組に注目している

竹富町の取組は、離島という特性にマッチした好例だと思います。

横目氏:実は、竹富町がやっているテレワークを絡めた移住促進事業を、沖縄県として取り組む予定があるんです。以前、県がICTを活用した地域活性化の方策を各方面にヒアリングしたとき、竹富町からは移住促進の手段としてのテレワーク事業を伝えたところ、強い関心を示してもらえました。

竹富町のやり方がモデルケースとなって、沖縄県としての取組に発展しつつあるわけですね!

横目氏:近いうちに実施できるよう、沖縄県が予算と制度を整備中です。またそれとは別に、民間企業も社員を西表島に派遣して自社ビジネスを開発するという動きもあるんです。ICTの発展により、竹富町のような離島にもビジネスが生まれるベースがあることが証明されて、嬉しいですね。

お問合せ先

ブルー・オーシャン沖縄

http://boo-oki.com/

Painushima Share

https://p-share.wixsite.com/info

竹富町 政策推進課 企画係

seisaku@town.taketomi.okinawa.jp

(参考)平成26年度補正予算地域実証事業の取組内容はこちら
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