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山梨県甲府市

【取材日:平成30年1月15日】

特色あるサテライトオフィス

地域とのつながりを重視した甲府テレワークヴィレッジ化構想

サテライトオフィス内部は洗練された雰囲気を醸す。

株式会社ジェイアール東日本企画が事業主体となり、現在は甲府市と株式会社ネクシードとコンソーシアムを組織して推進する「甲府テレワークヴィレッジ化構想」。平成28年度に総務省が実施した「ふるさとテレワーク推進事業」を活用する当事業は、都市部からの企業誘致による小規模サテライトオフィスの集積地化を目指し、この春から本格始動します。
そこで今回は、コンソーシアムの構成員である甲府市企画部企画総室地域振興課まちづくり係の山本圭介氏、株式会社ネクシードの𠮷田圭氏、また4月からの入居を決めた株式会社SAGOJOのスガタカシ氏にお話を伺いました。

目次

1.ジェイアール東日本企画、ネクシード、甲府市の三者で移住政策を推進

2.遊休資産を有効活用し、中心市街地にサテライトオフィスを整備

3.甲府と共存できる企業を条件に入居者を探索

4.サテライトオフィス入居者の甲府への定住を目指して

5.本事例についてのお問合せ先

1. ジェイアール東日本企画、ネクシード、甲府市の三者で移住政策を推進

JR甲府駅。中央本線や身延線が発着し、東京、長野、静岡からもアクセスは良好。

甲府市と株式会社ジェイアール東日本企画、株式会社ネクシードがふるさとテレワーク推進事業に参加した経緯についてお聞かせください。

山本氏:ふるさとテレワーク推進事業で掲げた甲府テレワークヴィレッジ化構想は平成28年度からスタートした事業ですが、もともと甲府市として以前からテレワークの推進に取り組んでいこうという考えがありました。
当時ジェイアール東日本企画さんが「シニア等のポジティブセカンドキャリア推進事業」を活用し、移住政策に取り組んでいたこともあり、そういった縁とジェイアール東日本企画さんからの提案もあったことから、「ふるさとテレワーク推進事業」を実施していくことになりました。
平成28年度に拠点整備が完了したことから、平成29年度はコンソーシアム内で企業誘致の役割を担う本市と、株式会社ネクシードを中心に事業を進めています。

2. 遊休資産を有効活用し、中心市街地にサテライトオフィスを整備

甲斐の国の偉人、武田信玄像が鎮座する甲府駅前。

甲府テレワークヴィレッジ化構想は、どのようなコンセプトで進められているのでしょうか?

𠮷田氏:一番は、甲府の魅力を活かすことです。 商業の中心地として栄えてきた甲府市には、甲府駅を中心に大小さまざまな店舗や商業施設が集まっている中心市街地があり、1階はテナントが入りやすく、2階以上は埋まりにくいという課題をもっていました。そこに着目し、2階以上に小規模のサテライトオフィスを整備すれば、遊休資産の有効活用につながるのではないかと考えたんです。

サテライトオフィスを整備する上で心掛けた点についてお聞かせください。

𠮷田氏:一般的に地域のサテライトオフィスは大企業がワンフロアもしくはビルを事業所として利用するか、複数社が共用する大規模のシェアオフィスが多いと思います。対して甲府の場合は立地の特性を活かし、独立した小規模サテライトオフィスを集積しようと考えました。市街地の店舗2階以上の部分ということもあり、必然的にそのような形態になるのですが、それぞれのオフィスを独立させることでプライバシーを確保しています。また全天球カメラによる監視システムや入室者をIDで管理するスマートロックシステムを導入し、業務終了後はPCにデータを残さないクラウドサーバによるデータ管理システムを構築するなど、セキュリティ面の強化も図っています。

甲府テレワークヴィレッジ化構想では、まずオリオンイーストという通りに3部屋のサテライトオフィスを整備されました。オリオンイーストのサテライトオフィスにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

インタビューを受ける甲府市企画部企画総室地域振興課まちづくり係 係長の山本圭介氏
▲甲府市企画部企画総室地域振興課まちづくり係 係長の山本圭介氏

山本氏:こオリオンイーストは甲府駅から徒歩5分ほどにある非常に便の良いエリアです。甲府駅は県内各所につながる山梨県の交通のハブとなっているため、どこへでも行きやすいというメリットがあります。
またオリオンイーストのある中心市街地は、多様な都市機能を有しており、仕事をする上で必要なことは周辺で事足ります。

𠮷田氏:オリオンイーストは路面店に若い方の経営するお店が多く入っており、人の行き来も多く活気があります。個性豊かなお店が多いので、我々のサテライトオフィスも地域の交流など、新たな出会いを提供できる場所となっています。

3. 甲府と共存できる企業を条件に入居者を探索

おしゃれな椅子が机を囲んで置かれ、ショールームのようにさえ感じられる室内。

サテライトオフィスへの入居に際して、設定している条件などはありますか?

𠮷田氏:選ぶというと語弊があるのですが、誰でもよいわけではなく、甲府に必要な人、甲府に違和感のない人、甲府と共存できる人です。端的にいえば、企業単位で事業所だけを構えたい人ではなく、地域と連携することによる可能性を見出せる人かどうかを見極めさせていただいています。
誰でも来てくれればいいというのではなく、地域と共存共栄できる企業を全面的にサポートしていきたいと考えています。
共に成長していける企業と出会えれば、我々は仲間として地域の縁をつなげて常にバックアップをしていく気持ちです。

株式会社SAGOJOのスガさんにお伺いします。甲府のサテライトオフィスへの入居を決めた理由をお聞かせください。

インタビューを受ける株式会社SAGOJO取締役のスガタカシ氏
▲株式会社SAGOJO取締役のスガタカシ氏

スガ氏:私どもSAGOJOは旅人が旅をしながら仕事ができるサービスを提供していることもあり、かねてから弊社サービスに登録している旅人が立ち寄れる場所を用意したいと思っていました。そうした中で甲府テレワークヴィレッジ化構想の話を聞き、興味を持ったのが始まりです。

SAGOJOの登録者には、週末になると旅に出る会社員の方や都市部に住むフリーランスの方、パラレルワーカーが大勢います。甲府は都心から2時間もあれば行けますから、そういった方々にとって魅力的な場所なのだと思います。SAGOJOの登録者が立ち寄れる場所を地方に整備していく中で、その皮切りとして甲府は最適だと思い、甲府のサテライトオフィスへの入居を決めました。

𠮷田さんの話では、地域と共存できる企業というのが入居の条件とのことでした。SAGOJOさんとしては甲府とどのような関わり合いを持っていきたいと考えていますか?

スガ氏:サテライトオフィスの使い方については、フリーランスのライターや編集者、カメラマンなどがデスクワークをするスペースとして活用できないかと考えています。それ以外にも農作業や現地での仕事をSAGOJOが提供するなどして、地域の方々と交流できる枠組みを構築していきたいと考えています。

SAGOJOの登録者には、現地と共存して旅をより充実させたいと考えている方や観光地を巡るだけではない何かを求めている方が大勢います。現地でしかできない体験だったら喜んでもらえることが多いので、サテライトオフィスを拠点にして甲府ならではの仕事を紹介していきたいと考えています。

遠方に住む方がサテライトオフィスを使用する場合、どこかに宿泊する必要があります。市として、またSAGOJOさんとして、住宅の問題についてどのように考えていますか?

スガ氏:SAGOJOでは現在、農家民泊をさせていただけるように農家さんと交渉しているところです。旅人が農家さんのところに泊まって半日農作業を手伝い、半日はサテライトオフィスでデスクワークをするというようなことができないか模索しています。

山本氏:市としては協議会を立ち上げる中で、そのような課題の解決策の検討をしていきたいと考えています。今後は入居する方々の意見を伺いながら、協議会で一つひとつ課題を解決していきます。

4. サテライトオフィス入居者の甲府への定住を目指して

六人掛けのデスクが複数配置された大きな打ち合わせスペースには、モニターも完備している。

最後に𠮷田さんと山本さんにお伺いします。甲府テレワークヴィレッジ化構想の展望についてお聞かせください。

𠮷田氏:甲府テレワークヴィレッジ化構想のサテライトオフィスは、あくまでも東京と甲府のハブ、止まり木です。サテライトオフィスに収まるのではなく、そこから巣立っていくことが理想だと考えています。その先は新居なのか自社ビルなのか分かりませんが、サテライトオフィスを甲府のスタート地点にしてもらいたいです。ゆくゆくは地域の雇用を生んでもらえたら市にも恩恵がありますし、地域と共存してもらえたら甲府の活性化にもつながります。サテライトオフィスの利用をきっかけに、甲府に居続ける人が増えてくれたら嬉しいです。

山本氏:空室になっているオフィスへの誘致を進めながら、ジェイアール東日本企画さんを中心に協議会を立ち上げ、新たなサテライトオフィスを整備していく仕組みを作っていきたいです。
誘致をするにはまず場所を見てもらわなければ前に進まないので、これからも積極的にPRをしていくつもりです。独自色を打ち出して甲府テレワークヴィレッジ化構想を推進していきますので、興味のある方はぜひご連絡ください。

お問合せ先

甲府市地域振興課

電話 055-237-5319

メールでのお問合せ

https://kofu-iju.com/contact

(参考)平成28年度予算補助事業の取組内容はこちら
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